事務所ブログ

2013.06.04更新

相続税の基礎控除が引下げらることとなり、
生前贈与が脚光を浴びているようです。
一般的な週刊誌にも贈与の特集がされたりしています。

しかし贈与については、相続税対策だけでなく
遺留分の請求に備えた贈与の相談を受けることがあります。

遺留分についてはブログ「遺留分の話」で触れていますが、
簡単に言うと、遺言などで遺産を全くもらえない、
少ししかもらえない相続人が一定の割合の主張ができる制度です。

ですので、生前に贈与しておいて、遺産からはずしておこう
ということで、生前贈与を考えるのです。
贈与した時の贈与税の問題はあるものの、
生前に贈与しておけば、死後遺留分を主張される心配がない・・・
しかしこれでは、遺留分の制度が骨抜きになってしまします。

「遺産」と書きましたが、遺留分の計算について民法1029条は
「・・・被相続人が相続開始の時において有した財産の価額に
その贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して・・・」
と規定しています。

つまり、死亡した時点で残っていた財産のみならず、
生前に贈与した財産も遺留分の計算の基礎となるのです。
やはり、抜け駆け的な贈与に一定の制限をしているのです。

もっとも、生前贈与がすべて遺留分の計算の基礎となる訳ではなく
民法1030条
「贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、
前条の規定によりその価額を算入する。
当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って
贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。」

つまり、死亡前一年間の生前贈与は無条件に
それ以前の贈与については、贈与する方・もらう方両方が
その贈与によって、遺留分権利者の遺留分を確保できなくなることを
知っていた場合、贈与した財産も加算して計算します。

では、遺留分対策の生前贈与は無意味でしょうか?
これは、遺言をするかどうかと同じことが言えます。

ブログ「遺留分の話」でも触れたように、
遺留分の主張は、贈与・遺言をした人が死亡したことと、
遺留分を主張できる贈与・遺言があることを
を知った日から1年以上経つとできなくなります。

知らなくても死亡から10年経つとできなくなります。

また、遺言も贈与も、その人の意志ですから、
それに反して遺留分を主張することに抵抗を感じて
遺留分の主張をしないかもしれません。

遺留分を主張する人の考え方次第ですが、
生前贈与も意味を持つこともあると思います。

同時に、遺言と同じく、生前贈与も
100%望みどおりになるとは限らないことも、
頭に置いておくべきだと思います。

投稿者: 司法書士 本多寿之