遺言

遺言とは

遺言とは、亡くなった方の生前の意思を尊重し、その実現を図る制度といえます。また、財産相続に関する効果を発生させることを目的とする法律行為でもあります。相続発生前の対策として、故人の最後の意思を実現し、正当な財産継承を図ります。
しかし、遺言については、亡くなった方の最終意思に基づいているのか、本当に本人が作成したものなのか、その真偽をめぐって残された相続人や利害関係人の間に紛争が起きる可能性があります。
そこで、そのような争いを防止し、遺言者の意思を実現するため、遺言することができる事項ならびに遺言の方式を厳格に定めたものが法律による遺言制度です。

遺言書の作成

相続において最ももめる原因となるのが、遺産の分割です。
被相続人(亡くなった方)の遺言がないために、相続人間で残された財産の分割をめぐる争いが生じてしまうことが少なくありません。
法律上の要件を満たした遺言書を作成しておけば、被相続人の意思を反映でき、相続のトラブルを未然に防ぐことができます。

※ただし、遺言者の死亡後、遺言の内容で一定の割合(遺留分)を下回る遺産しかもらえなかった相続人から、一定の割合まで遺産を受け取る権利を主張されることがあります。

「だいたいみんなわかっているから」「仲のよい家族だから」と思っていても、いざ財産を持っている方が亡くなると、生前に予想していなかった争いになることもあります。
しかし、遺言で自分の意思を明確に残していれば、「亡くなった○○がそう思っていたならば……」と相続人も納得することが多いのではないでしょうか。
大切な家族が争いに巻き込まれないために、遺言書を作成することを強くお勧めします。

自分が生きている間は、遺言書を第三者に託すなどすれば内容を相続人に知られないことも可能ですし、状況の変化に応じて内容を書き換えることも可能です。
遺言の書き方は法律で決まっており、それ以外の方法で無効となります。
遺言の種類には、通常次の3種類があります。

遺言書の種類

1.自筆証書遺言

本人によって本文の全文・日付・氏名が書かれ、押印されたものです。
用紙の規定はありませんが、ワープロ文字や代筆は認められません。全文を必ず自筆で書かなければなりません。
また、遺言者が死亡したときは、家庭裁判所で遺言の「検認」を行う必要があります。
※検認件数……全国で1万6,000件超(平成24年調べ)

2.秘密証書遺言

本人が公証人役場に出向き、証書に内容を記載して署名・捺印した上で証書を封じ、同じ印鑑で封印をします。
この証書を公証人と証人(2人以上)の前に提出。自分の遺言である旨を告げ、住所氏名を述べます。
それを公証人が封紙に日付とともに記録し、本人と証人と共に署名捺印して作成します。
(現実にはあまり利用されていません。)

3.公正証書遺言

本人が公証人役場に出向き、証人2人以上の立会いの上で遺言の内容を話し、公証人が筆記します。
そして、筆記した内容正確であることを確認した後、遺言者、証人が署名・捺印し、最後に公証人が署名・捺印して完成します。

なお、言葉の不自由な人や耳の不自由な人の場合は、本人の意思を伝えられる通訳を介して遺言を作成することができます。
また、相続人になる可能性のある人(推定相続人)、直系血族、未成年者、受遺者などは、公証人役場での証人になることはできません。

公正証書遺言のメリット

自筆証書遺言と秘密証書遺言は、作成した本人以外に内容を知られることがありません。しかし、本人の死後は、家庭裁判所で相続人全員の前で内容を確認する検認の手続きが必要となります。
検認の必要がないのは、公正証書遺言の場合だけです。
また、自筆証書遺言は紛失したり燃えてしまったら、改めて作成しなければなりませんが、公正証書遺言は原本を公証人役場で保管しているので「再発行」が可能です。
公証人が作成するため、自筆証書遺言のように書き方に不備があることは考えられません。
公正証書遺言は、証人を準備や費用の負担はあるものの、それ以上にメリットが多いため、可能であれば公正証書遺言を作成することをお勧めします。
公正証書遺言作成件数は、この10年間で1.5倍になっています。

遺言書の書き方

「間違いなく」「後でもめないように」書くことが基本です。

遺言には各種の書き方があり、その書き方は法律で決められています。
本人は思いを込めて書いたつもりでも、第三者が読むとどうしたいのかよくわからず、せっかく遺言書があるのに、死後、法務局での相続登記が受け付けられなかったということもあるのです。
効力のある遺言書をきちんと作成するには、やはり司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。

自筆証書遺言の書き方

  • 証人2人以上の立会いがあること
  • 遺言者が遺言の内容を公証人に口述すること
  • 公証人がその口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、または閲覧させること
  • 遺言者および証人が筆記の正確なことを承認したうえで、各自が署名捺印すること
  • 公証人がその証書を法律に定める手続きに従って作成されたものである旨を付記して、これに署名捺印すること
  • 加筆・削除・訂正は法律の規定に従った方法で行うこと

公正証書遺言の書き方

  • 証人2人以上の立会いがあること
  • 遺言者が遺言の内容を公証人に口述すること(聴覚・言語機能障害者は、手話通訳による申述、または筆談により口述に代えることができる)
  • 公証人がその口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、または閲覧させること
  • 遺言者および証人が筆記の正確なことを承認したうえで、各自が署名捺印すること
  • 公証人がその証書を法律に定める手続きに従って作成されたものである旨を付記して、これに署名捺印すること

証人・立会人の欠格者について

遺言執行者は、証人になることが認められていますが、未成年者、推定相続人、受遺者及びその配偶者、及び直系血族は証人にはなれません。
また、公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び雇用人も同様です。

遺言書作成のサポート

「遺言」は一握りの資産家だけの世界と思われがちですが、実際はそうではありません。 ごく普通の家庭でも、いざ相続となったときに思いもよらない紛争に発展してしまうことがよくあります。相続が「争族」にならないためにも、どんな方でも遺言書の作成は必要なのです。特に次のような方には、遺言作成をお勧めいたします。

  • 子どもがおらず、交流のない兄弟姉妹がいる方(夫・妻に残したい)
  • 交流のない前夫・前妻の子どもがいる方(後夫・後妻との間の子どもに残したい)
  • 財産を一人残される配偶者に譲りたい方
  • 離婚した前配偶者との間に子どもがいる方
  • 次に発生する相続を見据えた財産の承継を考えたい方
  • 「自分が死んだら遺産でもめそう」と感じている方

遺言書作成サポートの流れ

STEP1お電話によるご相談受付

まずはお電話で、「相続で相談」と当事務所へお問い合わせください。
専門家が対応させていただきます。

STEP2遺言書の文案の打ち合わせ

不動産・預貯金・株式等の財産を誰に相続させるか、遺言書作成担当者が遺言内容を聞き取り、内容の表現に努めます。
その際、資産の特定や費用の算出が必要となります。不動産をお持ちの方は登記簿謄本(登記事項証明書)、固定資産評価証明書、預貯金については支店・口座番号のわかるものをご用意していただきます。
また、遺言書作成に必要となる戸籍謄本や印鑑証明書等の必要書類を揃えていただきます。

STEP3公証人と文案及び日程の打ち合わせ

司法書士は打ち合わせをした遺言書の文案に基づいて公証人と打ち合わせ、遺言者の意思を正確に反映した遺言書文案を決定します。
また、公証人に公証人費用を算出してもらい、公証役場で公正証書遺言を作成する日時も決定いたします。

STEP4公証役場で証人2人と共に公正証書遺言の作成

公正証書遺言を作成するためには、証人2人の立会が必要です。
証人は誰でもなれるわけではありません。当事務所で証人を準備することもあります。
公証人が遺言の内容を遺言者と証人に読み聞かせるか、または閲覧させて、筆記した内容が正確なことを確認し、遺言者と証人2人が遺言書に署名・押印 します。

STEP5公正証書遺言の完成

公正証書遺言の原本は公証役場で保管されるので、公正証書遺言の正本を受け取ります。
公正証書遺言については、ご自身で保管されるか、遺言執行者や受遺者等に預けておくとよいでしょう。