前回、前々回に引き続き、家族信託が取り上げられた

2月28日NHKテレビのクローズアップ現代+について

私なりの補足をしたいと思います。

 

「(認知症が)重症になってしまうと、…

(資産が)一切凍結したら、そういうもの(マンション)を

売ったりとか、お金を使ったりできなくなってしまう。」

 

→ 成年後見制度を利用すれば、一切できないわけではありませんが、

できるのは必要最小限で、制約も多いです。

 

認知症などで、判断能力がない人のした契約は無効です。

売買などの契約やお金の支出も無効、

つまり財産は凍結されたのと同じ状態になります。

 

しかし、成年後見人が選任されれば、

成年後見人が判断能力の衰えた本人に代わって

契約をしたり、必要なお金の支出をしたりできます。

 

それでも、裁判所や監督人の監督下で、

本人にとって必要最小限の妥当な金額の範囲に限られます。 

 

本人の意思が確認できない以上、

これはしょうがないことでもありますが、

制約が多いため、結局「財産を凍結される」と

感じる人が多いのも事実です。

 

しかし、元気なうちに信託で家族に財産を託しておけば

本人に判断能力がなくなっても、信託契約などに込められた

本人の意思に基づき財産の管理ができます。

 

例えば、居住用の不動産の売却でも

信託されていれば裁判所の許可は不要です。

その他、場合によっては金銭の贈与も可能です。

(ブログ「将来、長男に住宅資金を贈与したいが…」をご覧ください。)

 

信託を設定した後に、本人の判断能力が衰えても

信託契約の中に凍結された本人の意思が

ずっと財産管理の指針として生き続けるので

財産は凍結されません。

これは、信託の「意思凍結機能」と呼ばれたりします。

 

意思凍結機能

(昨年本多が講師を務めた研修会資料より)

 

信託した場合でも信託契約による制約は受けますが

必要に応じて、管理しやすいように、

売却などしやすように決めておけば

「凍結される」と感じずにすむと思います。

 

繰り返しになりますが、

信託は元気なうちにしかできません。

判断能力がなくなってからは

成年後見制度を利用せざるを得ません。

 

テレビを見られた方は、この機会に

ご家族の方と話し合われてはいかがでしょうか。

 

家族信託、成年後見、財産管理・承継のご相談は

小倉北区の角田・本多司法書士合同事務所までご連絡ください。

 

 

 

 

 

 

 

角田・本多司法書士合同事務所