財産を贈与したい、
でも、贈与した後もその財産を管理したい・・・
そんたときの、家族信託の活用例です。
(信託については、ブログ「信託のしくみ」
「信託の小まとめ」をご参照ください。)

例1 長男に株を贈与したいが・・・(事業承継)

 自分で起こした会社、            
 経営は順調で、将来会社の資産も増えそうです。
 まだ若い長男も会社で働いています。     
 株の価値が上がる前に、           
 長男に株を贈与しほうがいいのかもと考えますが
 まだ経営を任せるには時間がかかりそうです。 
 それに、贈与して長男が株主になったあとに  
 もし、長男との関係が悪くなって、      
 私の意に反して株主の議決権を行使されたら・・

父親が長男に影響力を持っている間はいいとして、
長男との関係が悪化してしまうと、
株主である長男が議決権を行使して
父親の意志に反する経営を要求する、
場合によっては父親を社長から解任する・・・

株を贈与した後も、議決権を行使して
会社の経営を続けていく方法として
信託の活用が考えられます。

①長男に贈与した株を信託財産、
 父親が受託者として議決権を行使


まず、長男に株を贈与します。
同時に、長男を委託者受益者
父親を受託者とする信託契約を結びます。

株を所有するのは委託者である父親ですから、
父親は議決権を行使し、経営を続けることができます。

②父親を委託者兼受託者、
 受益者を長男として株を信託


一旦とはいえ、贈与して株が長男の
ものになることに抵抗があるのならば
自分を委託者受託者(自己信託)、長男を受益者として
株を信託する方法も考えられます。
※ 自己信託については次回も参照してください。

受託者はやはり父親ですので、
父親が議決権を行使しできることは①と同じです。

①と②に共通すること

早めに株を譲渡したいが経営権は握っていたい
信託にはそのような事業承継の悩みを解決できる可能性があります。

株を信託することで、長男に実質的に贈与した株式を
父親が議決権を行使できるので、
引き続き管理することと同じ状態になります。

株から生まれる利益(配当など)は受益者である長男のものです。

父親が死亡したときに信託が終了すると定めておけば、
その時点で長男が株の完全な所有者となります。

父親の生前に、長男に経営を任せられるときがきたら、
長男と信託契約を合意で解除して、
長男に株の完全な所有権を取得させることができます。

①は贈与した時点で、②は信託契約の時点で
贈与税の対象になります。
※ ②では株は贈与されていませんが、
 受益者が贈与で株を贈与で取得したものとして課税されます。
 ですから、父親が死亡したとき株は遺産とならず
 相続税の課税対象になりません。

次回も、贈与した財産を引き続き管理する
信託の活用方法のお話です。

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