事務所ブログ

2018.03.01更新

すでに「リビング北九州」を見られて

ご存知の方もおられるかもしれませんが、

「第15回 リビング相談室」の1枠で

「相続ドクターネクスト」を運営されている

株式会社ネクスト様の企画で、セミナーと相談会を開催します。

本多も講師を担当します。

 

「知っておきたい家族信託の基本」

3月17日(土)13時から

毎日西部会館(北九州市小倉北区紺屋町)

 

詳しくは「リビング北九州」記事 (8ページ右上)をご覧ください。

 

※ 申し込みは西日本リビング社へ。

  先着順、定員15名です。ご了承ください。

 

 

投稿者: 司法書士 本多寿之

2018.01.11更新

信託財産、特に信託口口座に対する強制執行について

以前から疑問な点を持っていましたが、

私と同様の疑問・考えをお持ちの方を知りました。

その方のブログ記事を紹介しつつ、

司法書士の実務としての強制執行や訴訟手続きから見た

私の考えも述べたいと思います。

 

※ 司法書士 谷口 毅 先生「民事信託・家族信託の徹底活用!」

 2017年10月28日付記事「信託口口座と差押

 

信託財産に対する強制執行

青い線

まず前提として、信託財産に対する強制執行については

信託法23条に規定があります。

 

〇 信託法第23条(信託財産に属する財産に対する強制執行等の制限等)

第1項

信託財産責任負担債務に係る債権(略)に基づく場合を除き、信託財産に属する

財産に対しては、強制執行、仮差押え、仮処分若しくは担保権の実行若しくは競売

(略)... をすることができない。

第5項

第1項又は第2項の規定に違反してされた強制執行、仮差押え、仮処分又は担保権の実行

若しくは競売に対しては、受託者又は受益者は、異議を主張することができる。

この場合においては、民事執行法(略)第38条及び民事保全法(略)第45条の規定を準用する。

※ 民事執行法第38条は第三者異議の訴えに関する規定 

 

信託財産責任負担債務については信託法21条に規定がありますが

谷口先生の記事では、信託財産に属する不動産について受託者が権限に基づき

業者に発注して修繕をした場合の、業者に対する代金支払い債務を

例としています。この債務は信託法21条1項5号

「信託財産のためにした行為であって受託者の権限に属するものによって生じた権利」

にかかる債務に該当する典型例の一つだと考えられます。

(この債務を業者側から見て「債権A]とします。)

 

信託財産に差押えなど強制執行ができるのは

信託財産責任負担債務にかかる債権に基づく場合であり、

受託者が信託財産とは無関係に負担した債務、例えば、

受託者が同じ業者に自分の自宅の修繕を発注した場合で

受託者が業者に対して負担した代金支払い債務、

業者側から見れば受託者に対する債権(「債権B」とします。)に基づいて

業者は受託者の固有財産に対する強制執行はもちろんできますが

信託財産に対する強制執行は(信託行為に定めがない限り)できません。

(「信託財産の独立性」として説明されることがあります。)

 

 

信託口口座に対する差押え

青い線

上の例で、受託者が債権Aについても債権Bについても支払いをしないので

業者がそれぞれの債権について支払いを求めて訴訟を提起し、

それぞれ勝訴判決を得て判決が確定したとします。

 

業者はそれぞれの確定判決を債務名義として

受託者の甲銀行乙支店の預金の差押えを申立てたとします。

そして、甲銀行乙支店には、上の例の信託財産に属する信託口口座と

受託者の固有財産に属する預金口座があったとします。

 

まず、債権Aに基づいて差押命令が発令された場合、

責任限定信託の場合は信託口口座のみが、

責任限定信託でない場合は信託口口座と受託者固有の預金口座の

両方が差押えの対象となります。

 

また、債権Bに基づいて差押命令が発令された場合、

受託者固有の預金口座のみが差押えの対象となります。

 

しかし、銀行には債務名義は送達されず、送達される差押命令正本の請求債権目録には 

債務名義として「〇〇裁判所平成〇年(〇)第〇〇号事件判決正本」とのみ表示され、

その他は元金や利息の金額のみが表示されるため、銀行に債権の内容はわかりません。

 

また、差押債権目録にも「債務者(この場合は受託者)が第三債務者甲銀行乙支店に

有する預金債権・・・」と抽象的に表示され、信託財産に属する預金か否かは表示されないのが

通常の取り扱いと思われます。(複数の口座があった場合、「定期預金、定期積金・・・」

「口座番号の若い順」など差押えの順序の指定はされます。)

 

そうすると上の例で、銀行は送達された差押命令正本の表示から、

差押の対象となる預金口座が、信託口口座のみか、受託者固有の預金口座のみか、

またはその両方かを判別することは不可能です。

 

谷口先生は、受託者が同じで委託者が異なる複数の信託口口座があった場合も

例として挙げていますが、同様に差押命令正本にはそもそも信託に関する情報は

表示されていませんので、どの信託口口座に対する差押えか、やはり判別が不可能で

先生が疑問に思われているとおりだと思います。

 

銀行が差押命令正本の送達後、本来、差押の対象とすべき口座について

受託者の請求に応じて払い出しをしてしまうと、

債務者に対する弁済の禁止に反し、銀行が第三債務者として責任を問われかねません。

 

結局、銀行はどの口座を差押の対象とすべきか判別できない以上、

指定された順序で口座を差押の対象として、その結果、信託口口座が

対象となった場合は受託者の払い出しには応じず(口座をロック)、

もし、信託財産責任負担債務にかかる債権に基づく強制執行でないのであれば

当事者間で信託法23条5項に基づいて、裁判所で第三者異議の訴えで争ってください

という対応を取らざるを得ないのではないか・・・と思われます。

 

第三者異議の訴えにおいて、預金口座が信託口口座となっているという事実は

預金が信託財産に属しているということを証明する有力な証拠となるでしょうから

信託口口座を開設して金銭を管理することは、やはり有益であるとは考えられます。

 

しかし、信託に無関係な強制執行を銀行側で遮断できるかという点についは、

上記のとおり疑問が残ります。

 

以上の私の考えは、谷口先生が記事に書かれたお考えと同じと思われます。

 

※ 谷口先生にはブログ記事のご紹介・引用についてご快諾いただきました。

ありがとうございました。

 

次回は、強制執行の前提として取得する債務名義について

私なりに検討したことを述べたいと思います。

 

投稿者: 司法書士 本多寿之

2018.01.04更新

※ このページでは、判断能力が低下して成年後見人の支援が必要な

成年被後見人、または、信託で財産を託する委託者を「本人」と呼びます。

 

ブログ「家族信託の動画「②認知症対策」の解説」でも触れましたが、

成年後見制度は本人の権利と財産を「守る」制度であり、

それがために、「財産を凍結される」(実際は凍結しません)

「窮屈だ」と感じる人が多いのも事実ですが、「守る」ことに徹するのは、

本人の判断能力が十分でない以上、当然のことだと思います。

 

それに対して家族信託は、柔軟な設計が可能で、

財産も凍結されないことがメリットだと対比されることが多いです。

 

成年後見と家族信託は正反対のもののように言われ、

確かにそういう側面もあるかもしれません。

しかし、両者の根底にある考え方は同じだと思っています。

 

 

成年後見制度の「自己決定権の尊重」

青い線

まず大前提として、成年後見制度は本人のための制度であり

成年後見人や親族を利するための制度ではないのは当然です。

 

そして、成年後見制度の重要な基本理念に「自己決定権の尊重」があり、

民法858条にも本人の「意思を尊重」と規定されています。

 

「判断能力が低下した人が自己決定?」と思う人もいるかもしれませんが、

 重い障害や疾患があっても、それでもなお本人には能力や意思は残っており、

その能力を活用して本人が自己決定した意思は尊重されるべきという理念です。

 

本人保護との調和が求められる場面もありますが、

どこで暮らしたい、こんな医療が受けたいといった本人の決定を

成年後見人は最大限、尊重してその職務を行わなければなりません。

 

成年後見制度はもっぱら本人のための制度であり

本人の意思決定は尊重されなければならない・・・

 

 

家族信託と「自己決定権」 

青い線

※ ここからは私見が多く含まれます。

 

信託は誰のためのものかというと、「受益者」のためのものであり

受託者がその立場で、信託財産から利益を受けることが

禁止されている(信託法8条)ことからもわかるように

受託者を利するためのものではありません。

 

そして、家族信託は委託者=受益者でスタートすることが多いと思います。

 

契約による信託は、委託者と受託者間の契約で成立しますが、

ここで最大限、尊重されるべきは後に受益者となる委託者本人の意思だと思います。

 

成年後見制度において、判断能力の低下した本人、しかし、自己決定した意思は尊重されるべき、

ならば、家族信託において、判断能力の十分な委託者本人の意思が尊重されるのは当然です。

そういう意味で、成年後見と家族信託の根底にある考えは同じと考えます。

 

信託契約の内容によっては、委託者がないがしろにされ、

受託者や他の家族ばかりに都合がよく利益を得られるような

しくみになることもあり得ます。

 

委託者の意思を尊重しない、そして受益者のためにならない信託は

信託というしくみが存在する目的に反したものだと思います。

 

もっとも、成年後見との大きな違いとして、

例えば委託者の自宅を対象財産とした信託で、委託者が

「場所が良くないから、〇百万円でも売れるときに売ってしまいなさい」と、

成年後見であれば裁判所が許可することが難しい低額での売却を可能な契約内容にする・・・

 

受託者が財産の管理処分をしやすいように、残された家族がスムースに財産を承継できるようにと、

委託者本人以外の者にも有益な内容を含めるといった柔軟な設計が、信託では可能です。

 

これは、信託は契約時に、委託者本人に十分な判断能力があることが前提であり

委託者が自由な意思決定のもとで行うからこそ可能となることです。

 

家族信託は成年後見と比べて、柔軟な財産の管理処分が可能ですが、

両者とも、財産を管理してもらう「本人」のためのものであり

「本人」の自己決定を尊重するという根底にある考えは同じだと思っています。

 

 

 

 

 

投稿者: 司法書士 本多寿之

2017.12.25更新

家族信託の動画「⑤自己信託~贈与後も財産管理~」

(YouTubeサイトに移動します。)

⑤自己信託

 

通常の「贈与」は、贈与の対象となった物に

担保が設定されているなどのことがない限り、

贈与を受けた者(受贈者)がその物について

何の制限もない所有権を取得します。

 

つまり、もらってしまえば、もらった者(受贈者)が

使おうが、捨てようが、売ろうが、好きにできます。

(排他的権利とも呼ばれます。)

 

最近、相続税対策などで贈与が注目されているようですが、

贈与も契約の一種で、あげる者(贈与者)ともらう者(受贈者)の

意思の合致によって成立します。

 

あげる方が一方的に「あげた」と言っても贈与は成立しません。

つまり、もらう方は当然、財産を贈与された事実を知っている、

財産が自分の所有となったことを知っているわけです。

 

自分の物になったから、自分の好きにします!

と、売ったり、使ったり、好きにしても誰も文句は言えません。

排他的権利である所有権はもらった者(受贈者)に移っているからです。

 

動画のように、株式の議決権の行使についても同じで、

息子は株を全部もらった以上、株主総会で社長である父の解任決議も可能です。 

 

 

自己信託(信託宣言)自己信託(信託宣言) 

青い線

そこで、「自己信託」を利用するのですが

自己信託は見方によっては不思議な信託で

委託者=受託者、つまり、見た目は財産の移動も

名義の変更もありません。

 

動画の例では、株を信託財産、父が委託者兼受託者、 

息子を受益者にしています。

 

信託では、譲渡税、贈与税、相続税については

受益者が財産を所有しているものとして

課税されます。(受益者等課税)

(※ ブログ「家族信託と税金」をご覧ください。)

 

ですので課税上は、信託によって株の所有は父から息子に移った、

つまり、株が父から息子に贈与されたとして取り扱われます。

 

しかし、父は受託者ですので、信託財産である株は

父が引き続き管理をすることになります。

そして、株の議決権行使は管理行為に含まれると考えられ

父が引き続き議決権の行使ができます。

(解任される心配がなくなります。)

 

課税上は株価の安いうちの贈与として取り扱われ、

肝心の議決権は父が握っておくことができるのです。

 

動画の④まででご紹介した信託は、

委託者と受託者の契約で成立するものでしたが、

自己信託は委託者=受託者ですので契約ではありません。

一人でするということで「信託宣言」とも呼ばれます。

 

そして、自己信託(信託宣言)は公正証書で行うのが原則です。

 

税金の世界には「名義株」「名義預金」という言葉があるそうです。

株やお金を贈与したと、名義だけ変えておいて、

実際はもらった方は知らない、つまり贈与契約は成立してない場合、

あげた方が死亡して相続税の調査をされたときに、

「名義株」「名義預金」は贈与が成立していないとして、

遺産に含まれる、相続税の対象となるということがあるそうです。

 

しかし、自己信託の場合、株や預金の名義は受託者、

つまり、あげた方のままです。

しかし、公正証書で日付と受益者がはっきりしますので、

相続税の調査があっても、信託を設定した時点での受益者への

贈与として取り扱われ、相続税の対象となりません。

(設定時、贈与税の対象にはなります。)

 

自分で自分に財産を託する自己信託・・・

少し不思議に思われるかもしれませんが

このような活用方法が考えられます。

 

※ その他の動画(YouTubeサイトに移動します) 

 

 

 

 

投稿者: 司法書士 本多寿之

2017.12.22更新

家族信託の動画「④共有状態解消」

(YouTubeサイトに移動します。)

家族信託の動画「④共有状態解消」

 

 

不動産の共有はおすすめできません

青い空

動画でもお話ししていますが、

財産、特に不動産の共有はおすすめできません。

(ブログ「不動産の共有」をご覧ください。)

 

不動産全体を売却する、

老朽化した建物を解体するなどの処分行為は、

共有者全員の同意が必要です。(民法251条)

 

※ 民法251条の「変更」には管理以外の

処分行為が含まれていると解されています。

 

共有状態が続くと、共有者が死亡して相続が発生し

例えば兄弟姉妹の共有 → いとこ同士の共有 → さらにその下・・・

と、疎遠な人同士の共有となり、人数も増えてきます。

そうすると、認知症の人や「争族」でもめている人が現れたりして

もはや全員の同意をとることは難しく

売るに売れない、壊すに壊せない不動産が生まれてしまいます。

 

※ 空き家問題の多くは、所有者が死亡してもそのまま放置され

相続人が子 → 孫 → ひ孫と代替わりして、実質的に多人数の共有状態となり、

全員の同意がとれないことが原因の一つとなっています。

 

そもそも賃貸不動産であれば、すぐに売ったり壊したりしないでしょう。

しかし、共有状態が続けば将来、トラブルが起きそうです・・・

 

 

「共有状態解消」信託

 青い線

そういうときでも、全員が同意できる時点であれば

家族信託でトラブルの予防が考えられます。

 

共有状態解消 

 

動画の例では、共有者の子どもの一人を受託者、

共有者全員を委託者兼受益者として

共有不動産を信託財産としています。

 

不動産の名義は受託者一人に一本化され

管理・処分の権限を与えておけば、

元共有者である委託者(受益者)の同意なしで

受託者が単独で売買などを行えます。

 

委託者(受益者)の一部が認知症になったり、相続でもめたりしても、

受託者が単独で売買などができることに影響はありません。

 

元共有者の受益者は信託契約の規定などに基づき、

代金・賃料の分配を受けることになります。 

 

受託者の一存で売却できるのに抵抗を感じるのであれば

例えば、売却には受益者(受益権)の過半数の賛成が必要などと

信託契約で定めることも可能です。

 

なお、受益者に対する金銭の分配は

現物の不動産そのものを分けるよりは簡単ですが、

受益者が増えると、認知症、争族、行方不明などの受益者が現れ

利益の分配に問題が発生するかもしれません。

 

そういった場合に受託者はどのように対応したらよいか

信託契約で規定しておけば、信託財産や受託者が無用なトラブルに

巻き込まれることを防げると考えられます。

 

※ もちろん、最初の時点でできるのであれば

共有を回避するのが最善の方法と思います。

 

ブログ「共有状態解消信託~研修会から~」 もご覧ください。

 

その他の動画(YouTubeサイトに移動します)

 

 

 

投稿者: 司法書士 本多寿之

2017.12.21更新

家族信託の動画「③受益者連続信託~遺言を超えて」

(YouTubeサイトに移動します。

動画③受益者連続

 

動画でも触れていますが、遺言で指定できるのは、

遺言者が死亡した時点での遺言者の財産の承継についてで、

遺言に基づき財産を承継した者が、その後、死亡したときの

財産の承継について指定しておいても効力はないと解されています。

 

動画の例では、夫が遺言でできるのは、自分が死亡したときに

自宅を妻に相続させると指定することまでです。

 

そして、子のいない妻が夫から相続した財産は

妻が死亡した時点で、妻に父母、祖父母など直系尊属がいない場合は

妻の兄弟姉妹(先に死亡している場合はその子)が相続人です。

 

遺言代用信託

青い線

動画で紹介した家族信託は、弟の息子が受託者ですから、

自宅不動産は弟の息子の名義になります。

 

しかし、動画「①基本的なしくみ」でも触れたように

信託において信託財産の実質的な所有者は受益者と考えられます。

  

この例でも、夫と妻がそれぞれ存命中は安心して自宅に住めることを

目的として信託を設定していますので、受益者である夫と

夫の配偶者である妻は当然自宅に住むことができます。

 

ところで、信託において受益者が死亡した場合、

信託契約などに何も定めがなければ、死亡した受益者の受益権は

通常の財産と同じ相続の対象として取り扱われます。

 

これに対して、信託契約などで「受益者Aが死亡した場合、

Bが受益権を取得する」と、次の受益者を指定しておくことができます。

 

動画の例で言えば、信託契約で「夫が死亡したら、

妻が受益権を取得する」と定めておけば、

夫の死亡後も妻は受益者として自宅に住むことができます。

 

つまり、夫が、自分が死亡したら自宅は妻が相続すると

遺言を書くことと同じことになります。

 

信託が遺言の代わりになるということで

「遺言代用信託」と呼ばれています。

 

受益者連続信託

青い線

遺言でできるのはここまでですが、

夫と弟の息子の信託契約の中で、「妻が死亡した場合、弟の息子が

受益権を取得する」と、さらに次の受益者を指定しておくことができます。

 

このように、最初の受益者が死亡した場合の次の受益者、

その受益者が死亡した場合のさらに次の受益者・・・

と、最初の契約などで、次々と受益者を指定しておく信託を

「遺贈型受益者連続信託」と呼びます。 

受益者連続 

 

このしくみを利用すれば、

例えば、熟年再婚で夫の財産を、実の息子を受託者として、

受益者を①夫 → ②再婚した妻 → ③実の息子と

最初から契約で指定しておけば、再婚した妻と実の息子には

養子縁組をしない限り相続関係はありませんが、

実の息子が最終的に残った財産を承継できます。

 

この受益者連続のしくみは、信託の非常に特徴的なしくみで

このしくみの利用のためだけでも、信託は検討する価値があると思います。

 

受益者連続信託については、次のブログ記事もご覧ください。

ブログ「受益者連続型信託

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

投稿者: 司法書士 本多寿之

2017.09.30更新

家族信託の動画「②認知症対策~自宅売却に備えて」

(YouTubeサイトに移動します。)

 動画②認知症対策

  

動画でも解説していますが、

認知症などで判断能力(意思能力)を

欠いた人のした契約は無効となります。

 

判断能力がなくなってからできることは

家庭裁判所に成年後見人を選任してもらうことです。

(以下、財産管理などをしてもらう人を「ご本人」と呼びます)

 

1 成年後見制度

青い線

 

成年後見制度は、判断能力を欠いたり衰えたりした人の

権利や財産を守るための重要な制度です。

高齢化社会の日本においてなくてはならない役割を果たしています。

 

その一方で、支出は必要最小限に、リスクは避けて、

財産を減らさないようにと、言わば「守り」に徹する傾向があります。

これは、ご本人が十分に意思を表示できない以上、仕方ない

ある意味、当然のことでもあります。

 

それがゆえに、「成年後見人が付くと、財産が凍結される」

(実際は凍結されません)と感じたり、

最近は司法書士・弁護士などの第三者が後見人に

選任されるケースが増えていますが、抵抗を感じる人もいます。

 

また、自宅の売却も、売却の必要性があり金額も妥当と

後見人が判断した上で、さらに、家庭裁判所の許可が必要で

親族の思うとおりにならないこともあります。

 

繰り返しになりますが、このような取り扱いはご本人の意思を確認できない以上、

当然であり、これが適切な運用だと思います。

きっと、ご本人が元気なら「誰も住まないならさっさと売りなさい」

と、言ってくれたに違いないとしても・・・

 

2 ご本人に判断能力があるうちなら

青い線

 

ご本人に判断能力があるうちなら、財産をこのように管理してほしい、

処分してほしいという考えや想いなどの意思を表示して

それを実現できる方法が考えられます。

 

その方法の一つが「任意後見制度」です。

裁判所に選任してもらう「法定後見」に対し、

「任意後見」は「自分に判断能力がなくなったら、

この人に後見人になってほしい」と「この人」と

公正証書で「任意後見契約」を結ぶことで成り立ちます。

 

契約ですので両者が合意すれば、どこまで任せるとか、

どのように財産を管理・処分してもらうかなど

比較的自由に決めておくことができます。

自宅の売却も権限を与えれば、裁判所の許可は不要です。

 

ただし、後見人として財産管理等ができるのは、

本人の判断能力がなくなって、家庭裁判所が監督人を選任してからです。

後見人となってからは監督人の監督下に置かれ、

裁判所が監督人から報告を受けますから、

結局、後見人は間接的に裁判所の監督下に置かれます。

 

監督人には司法書士、弁護士などの専門職が就任しますので、

ご本人の財産から報酬を支払う必要があります。

 

そして、別の方法の一つが「家族信託」です。

動画でも解説しているように、信託する財産は受託者名義になりますので

受託者に管理・処分の権限を与えておけば、

ご本人に判断能力があってもなくても後見人が選任されていても

受託者自身が売主となり、権限に従って自宅の売却ができます。

 

動画②認知症対策

 

3 それぞれ異なる点や特徴

青い線

 

このように、後見制度はご本人の判断能力がなくなってから

後見人として財産管理等を開始できるのに対し、

信託であれば、受託者は即、財産の管理等を始められます。

(任意後見の場合、任意代理の委任契約を併用して対応することもあります。)

 

信託で管理・処分の対象となるのは信託した財産に限られ、

その後、取得した年金などの金銭や財産は

新たに信託財産に組み入れなければ、受託者は管理できません。

(ご本人が「信託財産に組み入れる」と意思を表示できる判断能力が必要です)

また、信託財産と関係のない契約をご本人の代理人として結ぶこともできません。

 

これに対し、法定後見の後見人はもちろん、

任意後見の後見人も契約で定めた権限内であれば、

後見人に就任した後にご本人が取得した財産の管理処分や、

さまざまな契約行為もできます。

 

後見人は直接的・間接的に裁判所の監督下に置かれますが、

信託の受託者を監督するのは受益者です。

(信託契約で信託監督人を置くことは可能です。)

 

これらそれぞれを、いい点と考えるか、悪い点と考えるかは

ご本人の考えや状況によると思います。

 

すぐに財産管理を全面的に任せたいか、

誰が監督することを望むかなど・・・

 

一部の財産は信託で売却をし易くておいて、

その他の財産の管理や将来の契約に備えて

任意後見契約も結んで両者を併用するなど・・・

 

ご本人に判断能力があるうちであれば、

ご本人の考えや状況に応じて、

家族信託や任意後見などでの対策を検討することが可能です。

 

その他の動画(YouTubeサイトに移動します)

 

 ホームページ「家族信託」のページもご覧ください。

投稿者: 司法書士 本多寿之

2017.09.30更新

※ 家族信託の動画「①基本的なしくみ」

(YouTubeサイトに移動します。)

 動画①基本的なしくみ 

 

動画で説明しているとおり

信託には委託者、受託者、受益者が登場します。

(ただし、一人二役ができる場合もあります。)

 

信託は主に委託者と受託者の契約で成立します。

(信託法3条2号、4条1項)

 

信託財産は受託者名義となりますが、

通常の「預ける」行為や「あげる」贈与などとは

下記のような異なる点があります。

 

① 受託者は信託の目的の達成のために

必要な権限を有します。信託契約で制限を

加えることも可能です。(信託法26条)

 ※ 受託者の好き勝手にできる訳ではありません。

 

② 受託者は受託者の立場で信託財産から利益を受けることはできません。

(利益享受の禁止 信託法7条)

 

③ その一方で、受益権を有する受益者が、信託財産から

利益の給付等を受けることができます。(信託法1条6項7項)

 

つまり、信託財産の見た目の所有者は受託者ですが

受託者は信託契約などに従い管理・処分する権限

(「義務」とも言えます)を有するのみで

財産から生じる利益は受益者が受けることになります。

 

このことから、

受益者が財産の実質的な所有者と言われたりします。

 

動画①基本的なしくみ

 

ところで、平成18年の信託法改正までは、

もっぱら信託銀行・信託会社などが受託者となる

「商事信託」が主でしたが、法律が全面的に見直され

整備されたことで、個人が受託者となる「民事信託」の

利用がし易くなりました。

 

 そして、家族や親族が受託者となって「家族信託」を活用することで

家族や親族内で財産の管理や承継を円滑に行い

トラブルを防ぐという活用もし易くなりました。

 

代表的な活用方法は、動画の②から⑤でご紹介しています。

その他の動画(YouTubeサイトに移動します)

 

※ 「家族信託」は一般社団法人法家族信託普及協会の登録商標です。

本ブログ著者は同協会の会員であり、同協会と同じ趣旨で「家族信託」

という言葉を使用しています。

 

ホームページ「家族信託」のページもご覧ください。

 

投稿者: 司法書士 本多寿之

2017.09.28更新

家族信託についての解説動画を作りました。

本多がフリップやスライドを使って解説します。

コンパクトにまとめて(1本あたり約3分~3分半)、

やわらかめの内容にしています。

 

信託の基本的なしくみの解説と、

代表的な活用方法4つを紹介した、計5本立てです。

(以下のリンクはYouTubeサイトに移動します)

① 基本的なしくみ

② 認知症対策

③ 受益者連続~遺言を超えて

④ 共有状態解消

⑤ 自己信託~贈与後も財産管理

 

また、それぞれの動画について

以下のブログでさらに詳しく解説しています。

(ブログは一部準備中です)

 

家族信託の動画「①基本的なしくみ」の解説

家族信託の動画「②認知症対策」の解説

家族信託の動画「③受益者連続信託」の解説

家族信託の動画「④共有状態解消」の解説

家族信託の動画「⑤自己信託」の解説

 

ホームページ「家族信託のページ」もご覧ください。

 

 

投稿者: 司法書士 本多寿之

2017.03.06更新

前回、前々回に引き続き、家族信託が取り上げられた

2月28日NHKテレビのクローズアップ現代+について

私なりの補足をしたいと思います。

 

「(認知症が)重症になってしまうと、…

(資産が)一切凍結したら、そういうもの(マンション)を

売ったりとか、お金を使ったりできなくなってしまう。」

 

→ 成年後見制度を利用すれば、一切できないわけではありませんが、

できるのは必要最小限で、制約も多いです。

 

認知症などで、判断能力がない人のした契約は無効です。

売買などの契約やお金の支出も無効、

つまり財産は凍結されたのと同じ状態になります。

 

しかし、成年後見人が選任されれば、

成年後見人が判断能力の衰えた本人に代わって

契約をしたり、必要なお金の支出をしたりできます。

 

それでも、裁判所や監督人の監督下で、

本人にとって必要最小限の妥当な金額の範囲に限られます。 

 

本人の意思が確認できない以上、

これはしょうがないことでもありますが、

制約が多いため、結局「財産を凍結される」と

感じる人が多いのも事実です。

 

しかし、元気なうちに信託で家族に財産を託しておけば

本人に判断能力がなくなっても、信託契約などに込められた

本人の意思に基づき財産の管理ができます。

 

例えば、居住用の不動産の売却でも

信託されていれば裁判所の許可は不要です。

その他、場合によっては金銭の贈与も可能です。

(ブログ「将来、長男に住宅資金を贈与したいが…」をご覧ください。)

 

信託を設定した後に、本人の判断能力が衰えても

信託契約の中に凍結された本人の意思が

ずっと財産管理の指針として生き続けるので

財産は凍結されません。

これは、信託の「意思凍結機能」と呼ばれたりします。

 

意思凍結機能

(昨年本多が講師を務めた研修会資料より)

 

信託した場合でも信託契約による制約は受けますが

必要に応じて、管理しやすいように、

売却などしやすように決めておけば

「凍結される」と感じずにすむと思います。

 

繰り返しになりますが、

信託は元気なうちにしかできません。

判断能力がなくなってからは

成年後見制度を利用せざるを得ません。

 

テレビを見られた方は、この機会に

ご家族の方と話し合われてはいかがでしょうか。

 

家族信託、成年後見、財産管理・承継のご相談は

小倉北区の角田・本多司法書士合同事務所までご連絡ください。

 

 

 

 

 

 

 

投稿者: 司法書士 本多寿之

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