事務所ブログ

2012.12.15更新

ホームページの「遺言」のページでも触れていますが、
遺言を作るとき、自分で書く「自筆証書遺言」
公証人に書いてもらう「公正証書遺言」
どちらがいいか?とたびたび尋ねられます。
そのことについて、私の考えをお話しします。


1 遺言について基本的なこと


遺言は民法に定められた方式に従って
作らなければ効力がありません。(民法960条)

遺言は15歳に達するとすることができます。

未成年者の親権者、
成年被後見人などの、後見人、保佐人などは
契約など通常の法律行為であれば、
同意を与える必要があったり、
取消したりできることがありますが、
遺言ではこれらの規定は除外されています。

つまり、遺言は、通常の法律行為と比べて
低い判断能力・意思能力でも作成可能で、
親権者などの同意、取消にしばられません。

もちろん、低くても、遺言を作成できるだけの能力
=遺言能力は必要
ということです。(民法963条)


2 自筆証書遺言


自筆証書遺言の方式は
遺言者が、全文、日付、氏名を自署し押印する」に限ります。(民法968条1項)
ですので、ワープロで作成した、押印していない、
日付がない、あっても「〇年〇月吉日」などでは効力がありません。

訂正の方法も決められています。(民法968条2項)

また、遺言者が死亡後、検認の手続きを行わなければなりません。
(検認については「自筆証書遺言がみつかったら~検認」をご覧ください。


3 公正証書遺言


公正証書遺言の方式は次のとおりです。(民法969条)
① 証人2人以上が立ち会うこと
② 遺言者が遺言の内容を公証人に口で伝える(口授)すること
③ 公証人がその内容を筆記し、遺言者・証人に読み聞かせるか閲覧させること
④ 遺言者・証人と公証人が署名・押印すること

自筆証書遺言と違い、遺言を作成するのは公証人です。
もちろん、遺言者の言う内容に沿って作成します。

証人は遺言者の推定相続人、受遺者の配偶者、
これらの配偶者、直系血族はなることができません。
(当事務所でサポートする場合は
私と事務職員が証人となるケースが多いです。)


4 二つの比較


二つの方式を比較してみます。
(下の画像はイメージです。内容は専門家にご相談ください。)




  自筆証書遺言 公正証書遺言
誰が書く 遺言者本人
 →いつでも好きなときに書ける
公証人→公証役場に行くか
 公証人に来てもらわなければならない
費用 不要 公証人に手数料を支払う
証人 不要 必要
検認 必要 不要
原本など 1通のみ
 →燃えたり紛失したら
  また書かなければならない
原本は公証人役場で保管
必要に応じ、正本・謄本を発行
 →いわば再発行も可能

自筆証書遺言は、費用・証人も不要で
好きなときに作成できるので、
遺言する側にとっては作成しやすいと言えるでしょう。

一方、公正証書遺言は、
検認が不要で、いわば再発行も可能なので
遺言される側にとって利点が多いと思います。

また、自筆証書遺言は、「表現方法」がまずいために
他人が読んでも内容が理解できないことがあります。
公正証書遺言は公証人が、法務局や銀行などに
しっかり内容が伝わり手続きができるよう作成してくれます。

残された側のことを考えると
公正証書で遺言を作成することをお勧めしています。

しかし、事情やお考えから、ご自分で遺言を作成される場合は、
せっかく書いたのに手続きに使えないことがないよう、
表現方法も含めて司法書士などの専門家に相談されるのがよいでしょう。


北九州市八幡西区、八幡東区、若松区、戸畑区
小倉北区、小倉南区、門司区とその近郊で、
遺言、相続、遺産分割、不動産の名義変更は
角田・本多司法書士合同事務所へご相談ください。

投稿者: 司法書士 本多寿之

2012.12.02更新

※ 家族信託の解説動画を作成しました!

 基本的なしくみと代表的な活用例4つの5本立てです。

 是非ご覧ください。

 家族信託の動画(YouTubeチャンネルに移動します。)

 

家族信託について、
いろいろとお話してきましたが、
今日は、メリット・デメリット(注意点)をまとめてみます。

メリット


1 自分の生存中から死亡後まで、自由・柔軟な設定ができる

信託では、自分の生存中から、死亡時、そして死亡後まで
自分の財産の管理・承継について決めておくことができます。
その内容は契約などで、かなり自由に柔軟な設定ができます。


2 通常の遺言ではできないことが可能になる

通常の遺言では、自分の死後に発生した相続について、
財産を承継する者を指定することはできません。
信託では、契約などで定めれば、
自分の死後、受益権を承継した者が死亡したとき、
次に受益権を承継する者を指定でき、
自分の死後、信託が終了したときに財産を取得する者を指定できます。
(ブログ「受益者連続型信託」をご覧ください。)

また、信託は遺言の代わりを果たすこともできます。
(遺言代用信託・・・ブログ「信託と遺言」をご覧ください。)


3 倒産隔離機能がある

信託には、将来、自分や受託者が信託財産に関係のないことで
多額の債務を負っても、信託財産は差押えられないという
倒産隔離機能があります。
将来の万が一に対する備えになります。
(ブログ「倒産隔離機能について」をご覧ください。)
 


4 成年後見制度を補うことができる

成年後見人は、本人の判断能力が衰える前には
財産の管理はできません。
信託であれば、判断能力があるうちから、
自分の希望する人に財産管理を任すことができます。
もちろん、判断能力が衰えた後も、
受託者が財産管理を行うことができます。
(ブログ「高齢の自分に代わり、財産を管理して欲しい」をご覧ください。)

成年後見人が管理する財産からは、
原則として贈与したり投資したりすることはできません。
贈与したり投資したりするための財産を信託すれば、
本人の判断能力がが衰えた後も、
その財産から贈与・投資ができることになります。
(ブログ「将来、長男に住宅資金を贈与したいが・・・」をご覧ください。)


デメリット(注意点)

家族信託には特にデメリットはないと言われていますが、

勘違いしやすい点、注意すべき点をお話します。

 

1 成年後見、遺言でないとできないことがある

信託は財産について管理・処分など
必要な行為を行うものであることに対して、
成年後見は、民法で身上配慮義務を規定して
本人の財産管理のみならず、
身上監護をも念頭においている点が異なります。

信託契約の中に身上監護に関する規定を
定めることも可能ですが、
本人の名前で契約をする必要がある場合など、
本人の法定代理人である成年後見人でなければ
適切な身上監護ができない部分もあるでしょう。

(ブログ「高齢の自分に代わり、財産を管理して欲しい」をご覧ください。

また、未成年後見人の指定、子の認知などの身分行為は
遺言ではできますが、信託ではできません。
信託で遺言の代わりができないものがあります。


2 受託者を誰にするか

財産は受託者名義になりますので、

受託者として適切に財産を管理・処分できて

なおかつ信頼できる家族・親族がいるかどうかが

家族信託のポイントとなります。
 
また、受託者に財産の名義が変わってしまうことは、
受託者にとっては財産の管理がやりやすく、
委託者に判断能力があるうちから利用できるというメリットではありますが、
自分の財産が自分名義でなくなることに抵抗感を持つ人もおられるでしょう。
(ブログ「「受託者」とその監督」「受託者の責任と責任限定信託」をご覧ください。)


3 節税効果
 
信託は、それ自体に節税効果はありません。
逆に、受益者は財産を取得するのではありませんので、
財産を自由に使用、処分等ができないにもかかわらず、
財産を取得したものとして課税されます。
そういう意味では、税負担が重いと感じるかもしれません。
(ブログ「家族信託と税務1」「家族信託と税務2」をご覧ください。)

※判断能力が衰えても、贈与や不動産の購入ができる点で、
相続税対策に役立つ部分もあります。
(ブログ「将来、住宅資金を長男に贈与したいが・・・」をご覧ください。)


4 遺留分減殺請求との関係
 
自分の死亡後の財産を承継者を指定できますが、
遺言による遺贈ではないものの、
遺留分減殺請求の対象となることがあります。
(ブログ「受益者連続型信託と遺留分」をご覧ください。)

 

※ 信託の性質から、遺留分の減殺請求の対象とならない

 という見解もあります。ブログ「家族信託と遺留分」をご覧ください。
 
信託は、もちろん万能のものではなく、
できないこともあります。
 しかし、信託を検討することで
選択肢が一つ増えることは間違いありません。
それぞれの事情にあてはめた結果、
信託が最適な財産管理・承継の方法となる、
そんな可能性を信託は持っていると思います。


財産の管理・承継について、遺言・相続のご相談、
家族信託(民事信託・個人信託)の設計・契約・運営のご相談は
北九州市小倉の角田・本多司法書士合同事務所までご連絡ください。

投稿者: 司法書士 本多寿之