事務所ブログ

2011.12.26更新

亡くなった方に多額の借金があり、
相続で引き継ぎたくないとき、
相続放棄をすることを、亡くなったことを知ってから3ヶ月以内に
家庭裁判所に申述すればよいことを前回お話ししました。
(マイナスの遺産だけでなく、プラスの遺産も
引き継がないことに注意が必要です。)

しかし、残された遺産について、
プラスの方が多いのか、マイナスの方が多いのか
はっきりわからないこともあります。

その場合考えられるのが限定承認です。
これは、プラスの遺産の限度で
マイナスの遺産(債務)の返済をすればよいというものです。

例えば、最終的にプラスの遺産が100万円、
マイナスの遺産(債務)が120万円のとき、
100万円の債務を返済すれば、
残りの債務20万円は返済しなくてよいのです。

また、最終的にプラスの遺産の方が多ければ、
債務を返済した残りのプラスの遺産は引き継げます。

プラスもマイナスも全部引き継ぐ通常の相続(単純承認)と
全部引き継がない相続放棄の中間といったイメージです。

限定承認も亡くなったことを知ってか3ヶ月以内に
家庭裁判所へ申述が必要です。
プラスとマイナスがはっきりしないときは検討してもよいと思います。


ところで、普通に相続(単純承認)した場合、
プラスの遺産は、相続人全員で遺産分割協議をして
分けることができますが、
マイナスの遺産、つまり借金などの債務はどうでしょうか。

例えば、相続人ABCで、借金はAに相続してもらうと協議をしても、
お金を貸している人(債権者)は、ABCそれぞれに、
法定相続分に従って請求することができます。
「3人で話し合って、Aが払うことになりました。」と言っても
債権者には通用しません。

債務を相続人の一部の人に引き継がせる遺産分割協議は、
債権者が同意しなければ、債権者から見れば
相続人全員が法定相続分に従って債務を引き継いでいる状態です。

Cは債権者の請求を拒めませんが、
もし、Cが支払ったときは、Aに対して
「あなたが払うことになってたんだから」と
自分が支払った分をAに請求できます。

遺産分割協議で自分は債務は引き継がないと決めても、
完全には安心できないということです。


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「借金を相続したくないとき~相続放棄」


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角田・本多司法書士合同事務所までご相談ください。

投稿者: 司法書士 本多寿之

2011.12.22更新

相続するのはプラスの遺産だけではありません。
マイナスの遺産、例えば借金、クレジットの残金、車のローン
保証人としての支払い義務など、
ありとあらゆるマイナス(債務)も相続し引き継ぎます。

プラスの遺産はほとんどないのに、
多額の借金だけが残っている。
債務を引き継ぎたくないときに考えるのが相続放棄です。

遺産分割で、「私は遺産はいらない」ということを
「放棄した」と思っている方もおられますが、
法律上の相続放棄は、被相続人が
亡くなったことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述して行います。

必ず家庭裁判所に申述(といっても書面です)しなければなりません。
裁判所は亡くなったときに住んでいた所を管轄する家庭裁判所です。
「知ってから」ですから、音信不通にしていた親の死を
1年後に知っても、それから3ヶ月間は相続放棄ができます。

(知ってから3ヶ月以上たっても、
それまで借金なんてないと思っていたところ、
金融機関から多額の請求がきて、初めて債務があることを知ったとき、
そのときから3ヶ月以内であれば、
相続放棄を受け付けてもらえることがあります。)

また、遺産の一部を消費するなどすると、
遺産を引き継いだものとみなされて(法定単純承認といいます)
相続放棄ができなくなります。

相続放棄をすると、マイナスの財産だけでなく、
プラスの財産も相続できません。
つまり、一切、何も引き継がないことになります。
マイナスだけ放棄して、プラスは引き継ぐなんてことはできません。

相続人である子全員が相続放棄をすると、
相続の第2順位である、亡くなった方の父母・祖父母に
父母・祖父母がいなかったり相続放棄をすると、
第3順位である、亡くなった方の兄弟姉妹(場合によってはおい・めい)に
相続権が移っていきます。

相続放棄をすると借金は引き継がなくてすみますが、
遺産である家や預貯金も引き継げません。
3ヶ月はそんなに長くはありませんが、
その間に、相続放棄するかどうするか決断しなければなりません。

手続はそんなに難しいものではありませんが、
手間取っているうちに3ヶ月経過してしまうと大変ですので、
そんなときはご相談ください。

プラスの財産が多いか、マイナスの財産が多いか、
はっきりわからないときは、限定承認の検討も必要でしょう。
限定承認については、次回、お話します。


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投稿者: 司法書士 本多寿之

2011.12.16更新

くどいようですが、
相続があった都度、遺産分割をして
不動産の名義変更をすることが大切だとお話ししてきました。

しかし、相続登記をしないまま数十年が経過して、
現在、相続人が数十人!
分割協議をしようにも、印鑑をもらおうにも、
気が遠くなる・・・こういった話は現実にあります。

私も過去に、相続人が八十数名という件の相談を受けたことがあります。
父親から相続したと思っていた土地が、
父親のおじの名義になっていました。
そのおじには子供がなく、しかも他の家に養子に入っていたため、
父親を含む兄弟と、養子先の義理の兄弟が相続人に、
その後、その兄弟たちは死亡してしまい、
その子供たちに相続権が移っていました。
(特定を避けるため、実際の事案と内容を変えてます。)

父親が死亡して20年以上たってそれに気付きましたが、
すでに数十人の相続人がおり、
どうしようもないまま、その人も死亡して、
さらにその人相続人からの相談でした。

遺産分割することは事実上不可能に近い。
しかし、自分の父親から相続したと思って
その家と土地に住み続けていたことから、
時効取得の可能性があると考えました。

時効取得とは、民法の規定により、
20年間、他人の物を、所有の意思をもって、
平穏かつ公然に占有した者は、
その所有権を取得するというものです。

(ただし、相続人の1人が、その遺産全体を時効取得するには、
自分が単独で相続したと疑わず、
その後その使用収益を独占し、他の相続人から異議もなかった
などの要件が必要です。最判S47.9.8)

ちなみに、「所有の意思」ですから、
たとえば、借家人が借家に20年住み続けても、
借家人のものにはなりません。
借家人はあくまで、「借りている」のであって、
「所有している」とは言えないからです。

もっとも時効の要件をみたしていたとしても、
自動的に名義が変更されるわけではありません。
印鑑をもらうことも事実上不可能ならば、
裁判手続きによるしかありません。

時効でその不動産を取得したことを理由に、
自分に名義変更(所有権移転)登記手続きをするよう
他の相続人に求める民事訴訟を提起します。

もちろん裁判ですから、結果が100%保証される訳ではありませんが、
私が相談を受けたケースは、
裁判所からこちらの主張を認める判決をもらい、
依頼者が単独で名義変更(所有権移転)登記を行いました。

時効の要件にあてはまるかどうかは、
それぞれの事案によりますし、
裁判の結果は、裁判してみなければわかりません。
しかし、数十年間、父親の代から住み続けている家について、
名義変更がされていない、相続人が多すぎて印鑑がもらえないとき、
時効取得が解決の糸口になるかもしれません。

北九州市小倉北区、小倉南区、若松区、戸畑区、
八幡西区、八幡東区、門司区とその近郊で、
相続、遺言、不動産登記、名義変更は、
角田・本多司法書士合同事務所にご相談ください。

投稿者: 司法書士 本多寿之

2011.12.08更新

なかなか更新できないまま
あっという間に12月になりました。

このブログで、亡くなった方の財産について、
遺産分割協議をしないまま
長期間放置していると相続人が増えて、
遺産分割協議がまとまりにくくなるので
その都度、協議をして名義変更をすることが
大切だとお話してきました。

しかし、相続人が少なくても、
遺産分割の話し合いがまとまらないことはあります。
遺産の分け方について、それぞれの主張が違い
話が平行線のままで進まない・・・
そういった場合、どうしたらいいのか?

その場合は、家庭裁判所で
調停、審判の手続きをすることになります。
調停は、イメージとしては裁判所が間に入っての話し合いです。
当事者同士ではまとまらない話を、
裁判所(調停委員)が間に入って話をまとめようとします。

しかし、調停はあくまで「裁判所での話し合い」と言えますので、
やはり、当事者が合意できなければまとまりません。
それでも、何らかの形で決着をつけたいならば、
審判に進むことになります。

審判は、色々な状況をふまえた上で、
裁判所が遺産の分割の方法を決定します。
不服があれば第2審、第3審と進めますが、
最終的には裁判所の決定(審判)に従わなくてはなりません。
そういう意味では紛争は終局的に解決します。
納得できるかどうかは別ですが。

「裁判にかけてまで・・・」と二の足を踏む方が多いと思います。
私人間の紛争を終局的に解決することが、
裁判所の重要な役割の一つで、
裁判をする権利は憲法で保障されているのですから、
もっと気軽に(?)利用すればいいのです・・・
と言っても、現実には簡単には割り切れないものです。

財産を持っている方が亡くなった後に
言ってもしょうがないのですが、
遺言を書いてくれていれば紛争は防げたかもしれません。

遺言もない、遺産分割協議もまとまらない場合は、
家庭裁判所での調停・審判を考えることになります。
(いきなり審判を申し立ててもよいのですが、
裁判所もできる限り話し合いでの解決が望ましいと考えているため、
まず調停で話し合いをさせることがほとんどのようです。)


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投稿者: 司法書士 本多寿之