事務所ブログ

2012.04.04更新

前回の続きです。
私道の通行権を確保するにはどうすればよいでしょうか。
(※ 通行できるかという問題と、家を新築・建て替えできるかという
建築基準法の問題は別問題です。通行できても、
新築・建て替えができないこともあります。)

1 囲繞地(いにょうち)通行権の主張(民法210条~213条)
公道に通じていない土地の所有者は
周りの土地を通行する囲繞地通行権が認められます。

しかし、この通行権は
「他の土地のために損害が最も少ない」ところを通る
しかも幅どれくらいまで許されるかはケースバイケースという
確定するまで不安定な通行権です。
話し合いで確定できなければ裁判をせざるを得ず、
登記簿に権利として登記されないので、
銀行などが納得する明確な通行権にはなりにくいのです。

2 道路を共有にする
これは分譲地などでときどき見かけます。
前回の例でみれば私道をすべてABCDEFの共有にするのです。
(AFは公道から家への出入りができるのなら、
BCDEの共有も考えられます)
お互いに持分を交換し合って共有にすればよいでしょう。
つまり、全員が協力し合う必要があります。

ところで、例えば土地をABCDEFの6分の1ずつ共有にするというと、
「私の分は何㎡ですか」「どこからどこまで使っていいですか」と
聞かれることがあります。
しかし、共有するのは所有権という権利であり、
権利の対象は土地全体です。
ですから、ABCDEFはそれぞれ土地全体を使える
(道路なら通られる)ことになります。
割合が多い人がたくさん通られるということもなく、
3分の1の人も100分の1の人も同じように通られます。

3 通行地役権を設定する
通行する必要のある土地に、
通行を目的とした地役権を設定してもらうことも考えられます。
道路の所有者が、所有名義は一部でもあげたくない、
でも、通るだけだったらいいですよという場合などです。
地役権は登記できますので、お互い所有者が代わっても、
地役権はそのまま、つまり通行権は消えません。
もちろん道路所有者の手続への協力が不可欠です。
また、有償、つまり通行料の支払いが必要となることがあります。

4 賃借権・使用借権
お金を払って道路を借りる(賃借権)、ただで借りる(使用借権)方法です。
ただし,登記しなければ売買などで所有者が代わると通行権は主張できず、
そもそも使用借権は登記ができません。
不安定な通行権とならざるを得ません。


ご近所と顔見知りの間は問題は生じないかもしれません。
しかし、子、孫の代になったり、
売買で外から第三者が入ってくると、トラブルになりかねません。
また、安くしか売却できないなど、財産価値にも影響します。

道路自体には価値はないかもしれませんが、
通行できるかどうかは、日常の生活や
財産価値に大きな影響を及ぼしかねません。

顔見知りで仲がいいうちに、
協力して何らか手当しておくことが、
子や孫のためになると思います。


北九州市小倉北区、小倉南区、若松区、戸畑区、
八幡西区、八幡東区、門司区とその近郊で、
相続、遺言、不動産登記、名義変更は、
角田・本多司法書士合同事務所にご相談ください。

投稿者: 司法書士 本多寿之

2012.04.04更新

ふだん何も気にせず通っている家に通じる道。
でも、ある日突然通られなくなるかも?!というお話です。

明らかに行動に面している、比較的最近分譲されている
という場合は心配はないと思いますが、
例えば、地主が切り売りした結果できた
次のような住宅地があったとします。


住民は公道にでるために私道を通らなければなりません。
住民は何の問題もなく毎日私道を通っていました。
ところが、地番ごとの土地の配置と所有者を調べてみると、
次のようになっていることがあります。

自分の家の前の道路は自分の所有ですが、
他の私道は他の住民の所有です。
つまり、毎日、他人の土地を通っていたのです。

ある日、Aさんが家と土地を売ってGさんが引っ越してきた、
またはAさんが死亡して息子のGさんが相続したとします。
そして、Gさんは「自分の前の道路は自分一人の所有だから、
今後は通ってはならない!」と道路上に花壇を作ってしまいました。

他の住民は「自分たちに通行権がある!」と言えるでしょうか?
残念ながら、所有の状態からは通行権が明確ではありません。

通行についてトラブルになる以外にも、
BCDEが土地建物を売ろうとしても、
公道までの私道に権利がないので売れない、
売れてもかなり安くしか売れない、
土地建物を担保に銀行から融資を受けようとしても、
明確な通行権がないので融資が受けられない、
という問題が起こりかねません。

たかだか道路のことですが、通行できるかどうかという問題や、
売却などができない、できとも値段が下がるなど
財産価値が下がるという問題を引き起こします。

通行権を明確にするにはどうすればいいのか?
これについては次回お話します。

投稿者: 司法書士 本多寿之