事務所ブログ

2017.12.25更新

家族信託の動画「⑤自己信託~贈与後も財産管理~」

(YouTubeサイトに移動します。)

⑤自己信託

 

通常の「贈与」は、贈与の対象となった物に

担保が設定されているなどのことがない限り、

贈与を受けた者(受贈者)がその物について

何の制限もない所有権を取得します。

 

つまり、もらってしまえば、もらった者(受贈者)が

使おうが、捨てようが、売ろうが、好きにできます。

(排他的権利とも呼ばれます。)

 

最近、相続税対策などで贈与が注目されているようですが、

贈与も契約の一種で、あげる者(贈与者)ともらう者(受贈者)の

意思の合致によって成立します。

 

あげる方が一方的に「あげた」と言っても贈与は成立しません。

つまり、もらう方は当然、財産を贈与された事実を知っている、

財産が自分の所有となったことを知っているわけです。

 

自分の物になったから、自分の好きにします!

と、売ったり、使ったり、好きにしても誰も文句は言えません。

排他的権利である所有権はもらった者(受贈者)に移っているからです。

 

動画のように、株式の議決権の行使についても同じで、

息子は株を全部もらった以上、株主総会で社長である父の解任決議も可能です。 

 

 

自己信託(信託宣言)自己信託(信託宣言) 

青い線

そこで、「自己信託」を利用するのですが

自己信託は見方によっては不思議な信託で

委託者=受託者、つまり、見た目は財産の移動も

名義の変更もありません。

 

動画の例では、株を信託財産、父が委託者兼受託者、 

息子を受益者にしています。

 

信託では、譲渡税、贈与税、相続税については

受益者が財産を所有しているものとして

課税されます。(受益者等課税)

(※ ブログ「家族信託と税金」をご覧ください。)

 

ですので課税上は、信託によって株の所有は父から息子に移った、

つまり、株が父から息子に贈与されたとして取り扱われます。

 

しかし、父は受託者ですので、信託財産である株は

父が引き続き管理をすることになります。

そして、株の議決権行使は管理行為に含まれると考えられ

父が引き続き議決権の行使ができます。

(解任される心配がなくなります。)

 

課税上は株価の安いうちの贈与として取り扱われ、

肝心の議決権は父が握っておくことができるのです。

 

動画の④まででご紹介した信託は、

委託者と受託者の契約で成立するものでしたが、

自己信託は委託者=受託者ですので契約ではありません。

一人でするということで「信託宣言」とも呼ばれます。

 

そして、自己信託(信託宣言)は公正証書で行うのが原則です。

 

税金の世界には「名義株」「名義預金」という言葉があるそうです。

株やお金を贈与したと、名義だけ変えておいて、

実際はもらった方は知らない、つまり贈与契約は成立してない場合、

あげた方が死亡して相続税の調査をされたときに、

「名義株」「名義預金」は贈与が成立していないとして、

遺産に含まれる、相続税の対象となるということがあるそうです。

 

しかし、自己信託の場合、株や預金の名義は受託者、

つまり、あげた方のままです。

しかし、公正証書で日付と受益者がはっきりしますので、

相続税の調査があっても、信託を設定した時点での受益者への

贈与として取り扱われ、相続税の対象となりません。

(設定時、贈与税の対象にはなります。)

 

自分で自分に財産を託する自己信託・・・

少し不思議に思われるかもしれませんが

このような活用方法が考えられます。

 

※ その他の動画(YouTubeサイトに移動します) 

 

 

 

 

投稿者: 司法書士 本多寿之

2017.12.22更新

家族信託の動画「④共有状態解消」

(YouTubeサイトに移動します。)

家族信託の動画「④共有状態解消」

 

 

不動産の共有はおすすめできません

青い空

動画でもお話ししていますが、

財産、特に不動産の共有はおすすめできません。

(ブログ「不動産の共有」をご覧ください。)

 

不動産全体を売却する、

老朽化した建物を解体するなどの処分行為は、

共有者全員の同意が必要です。(民法251条)

 

※ 民法251条の「変更」には管理以外の

処分行為が含まれていると解されています。

 

共有状態が続くと、共有者が死亡して相続が発生し

例えば兄弟姉妹の共有 → いとこ同士の共有 → さらにその下・・・

と、疎遠な人同士の共有となり、人数も増えてきます。

そうすると、認知症の人や「争族」でもめている人が現れたりして

もはや全員の同意をとることは難しく

売るに売れない、壊すに壊せない不動産が生まれてしまいます。

 

※ 空き家問題の多くは、所有者が死亡してもそのまま放置され

相続人が子 → 孫 → ひ孫と代替わりして、実質的に多人数の共有状態となり、

全員の同意がとれないことが原因の一つとなっています。

 

そもそも賃貸不動産であれば、すぐに売ったり壊したりしないでしょう。

しかし、共有状態が続けば将来、トラブルが起きそうです・・・

 

 

「共有状態解消」信託

 青い線

そういうときでも、全員が同意できる時点であれば

家族信託でトラブルの予防が考えられます。

 

共有状態解消 

 

動画の例では、共有者の子どもの一人を受託者、

共有者全員を委託者兼受益者として

共有不動産を信託財産としています。

 

不動産の名義は受託者一人に一本化され

管理・処分の権限を与えておけば、

元共有者である委託者(受益者)の同意なしで

受託者が単独で売買などを行えます。

 

委託者(受益者)の一部が認知症になったり、相続でもめたりしても、

受託者が単独で売買などができることに影響はありません。

 

元共有者の受益者は信託契約の規定などに基づき、

代金・賃料の分配を受けることになります。 

 

受託者の一存で売却できるのに抵抗を感じるのであれば

例えば、売却には受益者(受益権)の過半数の賛成が必要などと

信託契約で定めることも可能です。

 

なお、受益者に対する金銭の分配は

現物の不動産そのものを分けるよりは簡単ですが、

受益者が増えると、認知症、争族、行方不明などの受益者が現れ

利益の分配に問題が発生するかもしれません。

 

そういった場合に受託者はどのように対応したらよいか

信託契約で規定しておけば、信託財産や受託者が無用なトラブルに

巻き込まれることを防げると考えられます。

 

※ もちろん、最初の時点でできるのであれば

共有を回避するのが最善の方法と思います。

 

ブログ「共有状態解消信託~研修会から~」 もご覧ください。

 

その他の動画(YouTubeサイトに移動します)

 

 

 

投稿者: 司法書士 本多寿之

2017.12.21更新

家族信託の動画「③受益者連続信託~遺言を超えて」

(YouTubeサイトに移動します。

動画③受益者連続

 

動画でも触れていますが、遺言で指定できるのは、

遺言者が死亡した時点での遺言者の財産の承継についてで、

遺言に基づき財産を承継した者が、その後、死亡したときの

財産の承継について指定しておいても効力はないと解されています。

 

動画の例では、夫が遺言でできるのは、自分が死亡したときに

自宅を妻に相続させると指定することまでです。

 

そして、子のいない妻が夫から相続した財産は

妻が死亡した時点で、妻に父母、祖父母など直系尊属がいない場合は

妻の兄弟姉妹(先に死亡している場合はその子)が相続人です。

 

遺言代用信託

青い線

動画で紹介した家族信託は、弟の息子が受託者ですから、

自宅不動産は弟の息子の名義になります。

 

しかし、動画「①基本的なしくみ」でも触れたように

信託において信託財産の実質的な所有者は受益者と考えられます。

  

この例でも、夫と妻がそれぞれ存命中は安心して自宅に住めることを

目的として信託を設定していますので、受益者である夫と

夫の配偶者である妻は当然自宅に住むことができます。

 

ところで、信託において受益者が死亡した場合、

信託契約などに何も定めがなければ、死亡した受益者の受益権は

通常の財産と同じ相続の対象として取り扱われます。

 

これに対して、信託契約などで「受益者Aが死亡した場合、

Bが受益権を取得する」と、次の受益者を指定しておくことができます。

 

動画の例で言えば、信託契約で「夫が死亡したら、

妻が受益権を取得する」と定めておけば、

夫の死亡後も妻は受益者として自宅に住むことができます。

 

つまり、夫が、自分が死亡したら自宅は妻が相続すると

遺言を書くことと同じことになります。

 

信託が遺言の代わりになるということで

「遺言代用信託」と呼ばれています。

 

受益者連続信託

青い線

遺言でできるのはここまでですが、

夫と弟の息子の信託契約の中で、「妻が死亡した場合、弟の息子が

受益権を取得する」と、さらに次の受益者を指定しておくことができます。

 

このように、最初の受益者が死亡した場合の次の受益者、

その受益者が死亡した場合のさらに次の受益者・・・

と、最初の契約などで、次々と受益者を指定しておく信託を

「遺贈型受益者連続信託」と呼びます。 

受益者連続 

 

このしくみを利用すれば、

例えば、熟年再婚で夫の財産を、実の息子を受託者として、

受益者を①夫 → ②再婚した妻 → ③実の息子と

最初から契約で指定しておけば、再婚した妻と実の息子には

養子縁組をしない限り相続関係はありませんが、

実の息子が最終的に残った財産を承継できます。

 

この受益者連続のしくみは、信託の非常に特徴的なしくみで

このしくみの利用のためだけでも、信託は検討する価値があると思います。

 

受益者連続信託については、次のブログ記事もご覧ください。

ブログ「受益者連続型信託

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

投稿者: 司法書士 本多寿之