事務所ブログ

2013.06.13更新

ホームページの遺言のページで
遺言を公正証書で作成するメリットを紹介しています。

ところで、遺言だけでなく
様々な契約書を公正証書にすることがあります。
公正証書で契約書を作成する利点についてご紹介します。

1 証拠力が高い


公正証書は、公証人が作成した公文書です。
民事訴訟法に公文書についての規定があります。
民事訴訟法228条
 文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
 2  文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認める
  べきときは、真正に成立した公文書と推定する。
   (以下省略)

「成立」とは、分かり易く言えばその人が作ったかということで、
民事訴訟で文書が証拠として採用されるには、原則として
本当にその人が作ったものか証明が必要ですが、
公文書であれば、そこに名前のある公務員が
本当に作ったものだと推定されます。

なので、相手方が「偽造公文書だ」などと反対のことを証明しない限り
その公文書(公正証書)は証拠として採用されることになります。


2 執行力がある


通常、相手の財産を差押える(強制執行)には
確定した判決などが必要で、言い換えれば
差押えする前に、民事裁判などを起こさなければなりません。

しかし、金銭の支払いなどを目的とする請求について
作成された公正証書で、相手方が強制執行に服する旨が
書かれてあれば、判決などがなくても強制執行ができます。

そういう意味で、公正証書には執行力があり、
そのような公正証書を「執行証書」と言います。

ですから、例えば借用書(金銭消費貸借契約書)を
公正証書で作成した後に、借主が支払いをしなければ、
貸主は裁判をすることなく、借主の財産の差し押さえができます。

※ ただし、公正証書を事前に借主に送達してもらっておく、
 公正証書に執行文を付与してもらうなど、
 強制執行のための前準備は必要です。

(差押えについてはブログ
Q.借金を返してくれない知人の財産を差押えたい1」などをご覧ください。)


その他、遺言のメリットでも触れましたが、
専門家である公証人が作成しますから
内容・表現が的確であるのはもちろん、
原本を公証役場で保管しますので、もし紛失しても
いわば「再発行」が可能、などのメリットがあります。

デメリットは、費用がかかる
原則、当事者が公証役場に出向く必要がる
といったところでしょうか。

しかし、実際はこのデメリットが障害となって
なかなか一般的な契約書を公正証書にすることは
少ないかもしれません。

私文書は、公正証書比べれば証拠力は弱く、
執行力もありませんが、
作成しないことと比べれば、裁判において雲泥の差があります。
まずは書面で残しておく、これが大切だと思います。

投稿者: 司法書士 本多寿之

2013.06.04更新

相続税の基礎控除が引下げらることとなり、
生前贈与が脚光を浴びているようです。
一般的な週刊誌にも贈与の特集がされたりしています。

しかし贈与については、相続税対策だけでなく
遺留分の請求に備えた贈与の相談を受けることがあります。

遺留分についてはブログ「遺留分の話」で触れていますが、
簡単に言うと、遺言などで遺産を全くもらえない、
少ししかもらえない相続人が一定の割合の主張ができる制度です。

ですので、生前に贈与しておいて、遺産からはずしておこう
ということで、生前贈与を考えるのです。
贈与した時の贈与税の問題はあるものの、
生前に贈与しておけば、死後遺留分を主張される心配がない・・・
しかしこれでは、遺留分の制度が骨抜きになってしまします。

「遺産」と書きましたが、遺留分の計算について民法1029条は
「・・・被相続人が相続開始の時において有した財産の価額に
その贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して・・・」
と規定しています。

つまり、死亡した時点で残っていた財産のみならず、
生前に贈与した財産も遺留分の計算の基礎となるのです。
やはり、抜け駆け的な贈与に一定の制限をしているのです。

もっとも、生前贈与がすべて遺留分の計算の基礎となる訳ではなく
民法1030条
「贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、
前条の規定によりその価額を算入する。
当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って
贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。」

つまり、死亡前一年間の生前贈与は無条件に
それ以前の贈与については、贈与する方・もらう方両方が
その贈与によって、遺留分権利者の遺留分を確保できなくなることを
知っていた場合、贈与した財産も加算して計算します。

では、遺留分対策の生前贈与は無意味でしょうか?
これは、遺言をするかどうかと同じことが言えます。

ブログ「遺留分の話」でも触れたように、
遺留分の主張は、贈与・遺言をした人が死亡したことと、
遺留分を主張できる贈与・遺言があることを
を知った日から1年以上経つとできなくなります。

知らなくても死亡から10年経つとできなくなります。

また、遺言も贈与も、その人の意志ですから、
それに反して遺留分を主張することに抵抗を感じて
遺留分の主張をしないかもしれません。

遺留分を主張する人の考え方次第ですが、
生前贈与も意味を持つこともあると思います。

同時に、遺言と同じく、生前贈与も
100%望みどおりになるとは限らないことも、
頭に置いておくべきだと思います。

投稿者: 司法書士 本多寿之