事務所ブログ

2012.11.28更新

今日は、不動産の売買が行われたとき
固定資産税の納税義務はどうなるのかというお話です。
(都市計画区域における都市計画税も同様です。)

もちろん、不動産の売買が行われれば
固定資産税の納税義務者は買主に変わります。
それでは、いつ変わるのでしょうか。

固定資産税はその年度の初日の属する1月1日を基準として
賦課されます。(地方税法362条)
つまり、ある年の1月1日現在の不動産の所有者に
その年の4月1日から始まる年度の固定資産税が課税されます。


基準日は1月1日のみですから、
1月2日から12月31日までの間に売買で所有者が変わっても、
その都度、納税義務者は変更されません。
買主がそのまま次の1月1日の所有者ならば、
次の年度から買主が納税義務者になります。

1月1日時点の所有者が次の年度の納税義務者になる・・・
下の図のようなイメージです。
(下の図ではBは1月1日時点の所有者になりませんので、課税されません。)


所有者の判断は、原則として、登記名義で行います。
登記名義は登記申請の日に変わったものとして取扱いますので、
12月28日に売買で名義変更(所有権移転)登記を申請して
翌年1月4日に登記手続きが完了した場合でも
12月28日に買主名義になっと考えますので、
翌年1月1日時点では買主が所有者として
その年の4月からの年度に課税されます。

ところで、5月1日に売買が行われたとして、
その年度で売主が所有していた期間は4月1日から4月30日まで、
買主が所有する期間は5月1日から翌年3月31日まで。
うるう年でない場合、売主は30日、買主は335日でも
売主にその年度1年分の固定資産税が課税されることになります。

しかし、これでは不公平ですので、
不動産の売買では通常、日割り計算で精算が行われます。
上の例で、固定資産税が年間36,500円とすると
売主 36,500円× 30日/365日= 3,000円
買主 36,500円×335日/365日=33,500円のそれぞれ負担。
買主が売主に精算金として33,400円を支払います。

もし、その後売主が固定資産税を納税しなかったとしても、
あくまで納税義務者は売主ですから、
買主が滞納したことにはなりません。
売買で買主に名義が変わりますから、売主が滞納しても
不動産が差し押さえられることはありません。

※ 上の例では、
1年間を4月1日~翌年3月31日として日割り計算をしていますが、
1年間を1月1日~12月31日として計算する考え方もあります。
西日本では4月1日からとする場合が多いようですが、
固定資産税の精算は地方税法等に基づいたものではなく、
一種の商慣習ですので、このような違いがあります。


ところで、不動産の所有者が変わるのは贈与も同じです。
今年、不動産を贈与したのにまだ名義を変更していない場合、
年内に名義変更(所有権移転)登記を申請しないと、
来年度も贈与者(あげた方)に固定資産税が課税されますのでご注意を。


北九州市門司区、小倉北区、小倉南区、戸畑区 若松区、八幡西区、
八幡東区とその近郊、中間市、直方市、田川市、行橋市、遠賀郡、
田川郡、京都郡、築上郡で不動産の売買、贈与、相続による名義変更
などの登記手続きは角田・本多司法書士合同事務所までご連絡ください。

投稿者: 司法書士 本多寿之

2012.11.21更新

受託者の責任につていは
ブログ「受託者とその監督」で触れましたが、
そこでは主に、受託者の任務(受益者に対する責任)
についてのお話をしました。

今日は、信託に関する債権者に対する
受託者の責任についてのお話です。


1 倒産隔離機能との関係


ブログ「倒産隔離機能について」
信託に関する債務(信託財産責任負担債務:信託法21条)以外の
信託に関係ない債務について
信託財産は差し押さえなどの強制執行を受けることはなく
信託財産は言わば守られている状態とお話ししました。



これは、委託者や受託者の信託に関係ない債権者と
信託財産との関係についてのお話で、
例えば、委託者や受託者が信託に関係なく
自分のためにした借金について
その債権者は委託者や受託者が返済しないからといって、
信託財産に差し押さえはできないということです。

これに対して、今日のお話は、
信託に関する債務(信託財産責任負担債務)の債権者が
受託者固有の財産を差押えることができるかということで、
倒産隔離機能で守られている信託財産のことではなく、
受託者固有の財産についてのことになります。


2 信託に関する債務と受託者固有の財産の関係


例えば、受託者が信託財産を管理するにあたり、
その権限に基づいて借り入れをした場合、
貸し付けた債権者は、もし借入金の返済がされなかったとき、
信託在差を差押えるなど強制執行ができます。

ところで、信託財産のための借り入れとは言え、
借り入れの名義は受託者です。
それでは、その債権者は受託者固有の財産に対して
強制執行ができるでしょうか?
答えはイエスです。

受託者は、信託に関する債務について、
自分の固有の財産をもって返済する、
自分の固有の財産が強制執行を受ける、
このような責任を負っています。

(もちろん、信託財産から返済できれば、
受託者固有の財産から返済する必要はありません。)


※信託法21条2項に規定する債務は除きます


3 限定責任信託


これでは、受託者の責任が大きすぎると感じ
受託者となるのに二の足を踏むこともあるかもしれません。

そこで、信託財産のみを、信託に関する債務の
返済にあてればよいとする「限定責任信託」を設定すれば
受託者の責任は軽くなります。



限定責任信託とするには、いくつかの要件があります。

(1)信託契約などに所定の事項を定める(信託法216条1項)

信託契約などに限定責任信託である旨と
下記の事項を定めなければなりません。
① 限定責任信託の目的
② 限定責任信託の名称(例「〇〇〇限定責任信託」)
③ 委託者および受託者の氏名・名称と住所
④ 主たる信託事務の処理を行うべき場所
⑤ 信託財産に属する管理または処分の方法
⑥ 信託事務年度

(2)取引相手方への明示義務(信託法219条)

受託者は、限定責任信託の受託者として取引をする場合
取引の相手方にその旨を示さなければなりません。

(3)登記(信託法220条232条)

限定責任信託を設定した場合には、
2週間以内に定められた事項を登記しなければなりません。
これは、信託財産に不動産がある場合、
不動産の登記簿に信託財産である旨を登記することとは別で、
不動産の有無にかかわらず、
限定責任信託を設定したこと自体を登記するものです。

(4) 帳簿の作成義務(信託法222条) 給付の制限(信託法225条)など

限定責任信託の場合は、通常の信託と比べて
より詳細な会計帳簿の作成などが義務付けられています。
また、委託者から受益者への配当などの
給付可能額について制限があります。


このように、限定責任信託は通常の信託に比べて、
手続きや事務処理の負担は増えます。
受益者への配当にも制限がありますが、
受託者の固有の財産に対する責任は
軽減されるということになります。

投稿者: 司法書士 本多寿之

2012.11.14更新

以前、このブログで
福岡県司法書士会法教育推進委員会が作成した
主に小学校高学年対象の法教育教材
「解釈のちから」についてご紹介しました。



今日、北九州市内のある小学校で
この教材を使った法教育授業が行われ
私を含めた司法書士4名が講師として授業をしました。

紙芝居でストーリーを見ながら
「きまり」について考え、
物事を考え解釈する力の大切さを知ってもらう授業です。

福岡県司法書士会では、
小学校を中心にこの教材を使った法教育授業に
講師を派遣しています。

ご興味のある方は、
福岡県司法書士会のホームページをご覧ください。

投稿者: 司法書士 本多寿之

2012.11.08更新

当事務所のホームページに
「家族信託」のページができました。

そのページで、家族信託の概要を説明しています。
また、ブログの家族信託についての記事を
一覧にして、記事にリンクできるようにしています。

左側の「家族信託」のボタンをクリックするか、
ここをクリックしてご覧ください。

投稿者: 司法書士 本多寿之

2012.11.01更新

1 合同会社


平成18年に会社法が施行されて
新しく合同会社が設立できるようになりました。

合同会社は、合資会社、合名会社と合わせて
持分会社と呼ばれます。
3つの会社は、社員の構成に違いがあります。

※ 「社員」というと一般的には会社の「従業員」を表しますが、
 この場合、出資者兼役員(株式会社で言えば
 株主兼取締役)と考えるとイメージしやすいでしょう。
  社員の構成
合名会社 無限責任社員のみ
合資会社 無限責任社員+有限責任社員
合同会社 有限責任社員のみ

無限責任社員は、会社が債務を返済できないとき
自分の財産で返済する義務を負います。
会社の保証人になっているイメージです。

有限責任社員は、自分が出資した限度で責任を負います。
出資したものは返ってこなくても、
それ以上、自分の財産を差し出す必要はありません。

※ 債権者と社員個人が保証人となる契約をしている場合は
 保証人の立場として自分の財産で返済する義務があります。

ところで、株式会社の株主も有限責任で
会社が倒産しても、損害は出資した金額までです。

出資者が有限責任という意味で、
株式会社も合同会社も同じです。
そこで、会社を設立するにあって
株式会社、合同会社のどちらがいいか?
と、たずねられることがあります。
では、違いはなんでしょうか?


2 株式会社と合同会社の比較


① 出資者と役員の関係

合同会社は、出資者=役員です。
株式会社は、出資者=役員でなくても構いません。
(「出資と経営が分離している」と言われています。)

しかし、1人株主で、その株主が1人取締役ならば、
出資者=役員となるわけで、
個人事業を株式会社にした場合など、
出資した人がそのまま役員になるケースは多いと思います。

そうすると、出資者と役員の関係で
株式会社と合同会社との差はなくなります。

② 定款での自由度

株式会社は、株主総会など内部統治についてや、
配当などについて細かく法律で規定されています。
株主が必ずしも経営に参画しませんので、
法律に基づいて、透明度が高い状態で運営されなければ、
株主は安心して出資できません。

合同会社は、出資者が経営に参画するのが原則ですから、
株式会社に比べると、
定款で自由に運営方法を定めることができるようになっています。
例えば、配当についても、株式会社が
持ち株数に応じてなされるのが原則であるのに対し、
合同会社は、定款で定めれば、
出資した割合と異なる割合での配当も可能です。

しかし、これも、株主がそのまま取締役となる
小規模な株式会社では、
株主がそのまま会社の運営も行うわけで、
また、ほとんど配当は行われず、役員報酬で
実質的に利益が配分されていることが多いと思います。
そうすると、この点でも両者にあまり差はなく、
細かく法律で規定されている株式会社の方が、
窮屈に感じるかもしれません。

③ 決算書類の公告義務

株式会社には決算書類の公告義務があります。(会社法440条)
合同会社には公告義務はありません。

④ 設立費用

株式会社は、設立時登録免許税が最低15万円
定款認証手数料が最低約5万円かかります。
合同会社は、登録免許税が6万円ですし、
定款認証の必要はありません。

⑤ 知名度

株式会社を知らない人はいないでしょうし、
役員は名刺に「代表取締役社長」「専務取締役」など載せています。

合同会社はできて6年程しか経過しておらず、
知名度は株式会社よりは劣っています。
役員が名刺に「代表社員社長」「業務執行社員」などと載せても、
「社員が社長?」と思う人がいるかもしれません。


3 どちらがいいのか


今後、資金を集めるため、
多くの人に出資してもらおうと考えているのであれば、
株式会社が適しているのは間違いないと思います。

では、個人事業を法人化する、
家族や身内で会社を設立するなど
株主がそのまま役員で今後のそのつもり
というような場合はどうでしょうか。

設立コストは、合同会社の方が
最低でも9万円ほど安くあがります。
決算公告が必要か不要かもコストの差になります。

それからやはり、無視できないのは知名度ではないでしょうか。
知名度は信用度にも結びつくといえます。

商売する上で、知名度・信用度は重要なのは言うまでもなく
「合同会社?聞いたことないな」と思われるだけで
商売上、マイナスに働くこともあり得るかもしれません。

しかし、言ってしまえば名前だけの問題だ、
会社の中身で勝負するから関係ない、
コストはできる限り安い方がいい、
当面は今まで長い付き合いの取引先との
商売だから知名度・信用度は問題ない・・・

そういう場合は、合同会社も選択できると思います。

現在の時点では、株主=役員の会社であれば、
知名度とコスト以外に絶対的・決定的な差は
必ずしもないと考えています。

とすれば、①から⑤までをふまえた上で、
ご自身の考え方や価値観でご判断いただいています。

投稿者: 司法書士 本多寿之