事務所ブログ

2012.05.25更新

福岡県には、私たち司法書士をはじめ
弁護士、土地家屋調査士、税理士など
8つの専門職団体で
「福岡専門職団体連絡協議会(専団連)」を構成しています。

専団連では無料の相談会を開催していますが、
次回は6月2日(土)に開催されます。
北九州は北九州市商工貿易会館2階が会場です。

相談時間は1人30分間が目安ですが、
1つの事案で、例えば登記のこと、税金のこと、裁判のことなど
相談したいことが複数の専門職の範囲にわたっていても、
この相談会なら一度に相談することができます。

私も午前中に相談員として参加する予定です。
先着順受付です。
くわしくは専団連のホームページをご覧ください。

投稿者: 司法書士 本多寿之

2012.05.16更新

「内容証明郵便」を送りたいのですが
という相談をときどき受けます。
そして、相談される方が、内容証明郵便に
法的に特別な効力があると思われていることも時々あります。

そんなとき、私は「内容証明郵便も
普通のお手紙も効力は同じです。」と申し上げます。

確かに、債権譲渡については、民法467条に
債権を譲り渡した債権者が債務者に通知する場合
確定日付のある証書で通知しなければ、
第三者に債権を譲渡したことを対抗できない(主張できない)
という規定があります。
確定日付のある証書での通知、
これが内容証明郵便による通知となります。

このように内容証明郵便を送ることで
法的な効力が発生することもありますが、
こちらの方がまれで
ほとんどの場合、相手に意思を表示するについて、
内容証明郵便も普通の郵便も、口頭でも効力に差はありません。

例えば、以前消費者金融からお金を借りたが残債務が残っている、
しかし、5年以上新たに借りてもないし、返済もしていない場合
時効で債務が消滅している可能性があります。
時効は借りた方から、「時効で消滅したので返済しません」などと
相手方に伝える(意思表示をする)ことで、
初めて時効により債務が消滅します。(時効の援用と言います。)

この意思表示は、電話など口頭で行っても、
普通郵便の手紙で行っても、内容証明郵便で行っても効力は同じですが
もし裁判で時効の援用の意思表示をしたかどうか争われたとき、
口頭や普通郵便では証拠を出して証明するのは困難です。

しかし、内容証明郵便は、送るときに同じ文面を3部郵便局に出して、
1通は相手に送られ、1通は控えとして自分の手元に残り、
1通は郵便局に保管されます。
配達証明付きにしておけば、どんな文面がいつ誰に送られたかについて、
郵便局の証明付きの証拠となるのです。

内容証明郵便で送るメリットは
口頭や普通郵便のように、「聞いてない」「そんな内容の手紙受け取ってない」と
言われることを防げるところにあります。
口頭でも普通郵便でも効力は同じです。
しかし、裁判で証明できなければ、
意思表示をしていなのと同じ結果になってしまいます。

また、「期限がきたのでお金返せ」でも、普通郵便で送るより、
内相証明郵便で送った方が、相手に「これは本気で請求してきてる」と思わせ、
プレッシャーをかける心理的効果があるかもしれません。
期限を決めずにお金を貸したときは、適切な期間を定めて催促すると
その期間の経過後に支払い期限がきたことになります。
そうすると催促したことが重要となります。
こういう通知は是非、内容証明郵便で送っておきたいところです。

もちろん、文面が法律的に意味のある、
裁判所に理解してもらえる内容であることも大切です。
文面の内容、内容証明郵便で送るかどうかで
後から思いがけず裁判で不利になったりしますから、
迷ったときはご相談ください。


投稿者: 司法書士 本多寿之

2012.05.10更新

前回の続きです。
確定判決など「債務名義」を手に入れ、
執行分の付与、送達証明の取得ができれば
いよいよ相手の財産の差押え(強制執行)です。

ここで問題となるのは、いったい何を差押えるかです。
「えっ、裁判所に申立てれば、
裁判所が何か相手の財産をさがして差押えてくれのでは?」
という声が聞こえてきそうですが、
残念ながら差押える財産は差押える側が見つけて
「これを差押えてください。」と指定して裁判所に申立てなければ
裁判所は差押えをすることができません。

以下に差押えが考えられる主なものとその手続の概要や
メリット・デメリットをお話します。

1 不動産
メリット  大きな金額の回収の可能性がある
デメリット すでに抵当権などが設定されていると抵当権者が優先する。
       裁判所に収める予納金が比較的高額(50万円~)
裁判所に申立て、競売で売却できるまで数カ月はかかります。
また、1回で買受人が現れない場合は、金額を下げて再び売却を試みます。
売却ができればその代金から配当を受けます。

2 預金・給料・請負代金・売掛金など金銭を受け取る権利(債権執行)
メリット  うまくいけば直接銀行や勤め先から金銭を受け取れる
         →即回収につながる
デメリット 「〇〇銀行〇〇支店」(預金がどこにあるか)
       「住所〇〇の株式会社〇〇」(勤め先、発注元がどこなのか)など
       詳しい情報がないと差押えができない。
相手方が、銀行から、勤め先から、発注元などから
お金を受け取る権利を差押えます。
「財産を差押えられたとき」でも触れたように、給料は4分の1まで
年金、生活保護は差押え禁止です。

3 家財道具、店の備品・在庫品(動産執行)
メリット 住所さえわかれば差押え可能
デメリット 執行官に行ってもらう費用がかかる
       生活に必要なものは差押えができず
       高価なものがなければ功を奏しないことが多い
       リース物件などは相手に所有権がないので差押えできない
衣服・テレビ・クーラーなどは生活に必要なので差押えできません。
高価な宝石や価値のある在庫品などでもない限り、
一般の家財道具は価値がなく、効果が上がらないことが多いです。

その他、自動車執行も考えられますが、
裁判所が売却するまでの保管場所の料金などの費用がかかるため、
自動車が高額で売却できないと費用のかけ損の可能性もあります。

差押えがうまくいくかどうかは、当たり前かも知れませんが、
何を差押えるかにかかっています。

司法書士は差押え(強制執行)手続の代理人とはなれず、
書類の作成のみしかできませんが、
強制執行手続きは、裁判所に出頭することがほとんどないので
結局、書類さえちゃんと作成して裁判所に提出すれば足ります。

過去に依頼を受けて、相手方の預金や給料、
貸金が高額なときは不動産の強制執行の申立書を作成し、
回収に成功したことは多くあります。
その反面、相手方にめぼしい財産がなく、
せっかく判決をとっても回収できないこともあります。

そうすると、やはり、お金を貸すときに、保証人をつけてもらう、
不動産に抵当権を設定させてもらうなどの手当が重要ですが・・・

※ 仮差押えについて
裁判をして、勝訴判決を手に入れて、
それからやっと差押えとなるわけですが、
裁判を起こされた時点で、相手方が危険を察知して
財産を隠したり、他人に移したりするかもしれません。
金銭であれば使ってなくなってしまうかもしれません。
そうすると差押えるものがない、あるいは見つからなくなります。

それを防ぐための緊急性と必要性があると判断されれば、
裁判所に申し立てて、裁判を起こす前に仮に差押えておく、
「仮差押え」(そのままですが)ということができます。

仮差押えをしておくと、債務者はそのものを自由に移したり
使ったりできなくなります。(預金だったら引き出せないなど)
つまり差押えと同じ状態です。
しかし、裁判が確定して本来の差押えをするまで、
競売にもならず、債権者に配当もされません。
いわば「保留」状態のようなものです。

もし、債権者が裁判に負ければ、
仮差押えは解かれることになりますが、
結果的に、されるいわれのない仮差押えのために
長い間そのものを移せない、使えないことで
債務者に損害が生じているかもしれません。

損害は債権者に賠償する責任がありますが、
それに備えて、仮差押えを申立てるときに
債権者に担保を立てさせることが一般的です。
担保を立てさせるとは、多くの場合、
裁判所が決めた額の金銭を法務局に供託させるのです。
(「保証金」と言ったりします。)

そして、債権者が敗訴した場合、
仮差押えがされたことで債務者の被った損害の賠償に
保証金をあてるのです。

仮差押えは、債務者の側から見れば、
訴訟もされてない、公正証書も作ってないのに、
仮とは言えいきなり差押えられることになります。
しかし、債権者はそれ相応の保証金を積む必要があります。
(保証金の額は、事案ごとに裁判所が決定します。)


北九州市八幡西区、八幡東区、若松区、戸畑区、
小倉北区、小倉南区、門司区にお住まいの方で、
民事裁判、民事執行、民事保全の手続きについてのご相談は
角田・本多司法書士合同事務所までご連絡ください。





       

投稿者: 司法書士 本多寿之

2012.05.07更新

借金を返してくれない知人(債務者)の財産を差押えたい・・・
今回は、差押える側(債権者)から考えてみます。

土地に抵当権を設定するなど、担保に入れた財産がない場合、
財産を差押える(強制執行)には次のいずれかが必要です。
(民事執行法22条 ただし一部省略)
1 確定判決
2 仮執行の宣言を付した判決
3 仮執行の宣言を付した支払督促
4 和解調書、調停調書など確定判決と同一の効力を有するもの
5 公正証書(金銭の支払い等を目的とし、
        強制執行に服する旨の記載があるもの)
※ これらを「債務名義」と言います。

1から4は、債務者を被告や相手方として
借金の返済を求めて裁判所に申し立てた結果作成されるもの、
5は事前に債務者と公証役場で作成するものです。

お金を貸し付けたとき、債権を保全する方法としては、
・公正証書を作成する
・不動産などに抵当権を設定する(物的担保)
・連帯保証人をたててもらう(人的担保)
などが考えられますが、いずれも相手方や
保証人となってくれる人の協力が必要です。

不動産に抵当権を設定することは住宅ローンなどでよく行われますが、
債権者が金融機関でない個人であっても、
個人を抵当権者として設定登記ができます。
抵当権があれば、「債務名義」がなくても
競売の申し立てができます。

(もっとも、すでに先順位の抵当権が設定されている場合は、
自分まで配当がまわってこないことがあるかもしれません)

しかし、知人にお金を貸すにあたって、
公正証書を作成してくれ、
抵当権を設定してくれ、とまでは言いにくいかもしれません。

そういうものがないまま、借金を返してくれなくなり、
相手の財産を差押えたい場合は、
支払いを求める民事裁判を起こす、
支払督促手続を利用するなどして、
「債務名義」を手に入れるしかありません。

強制執行を申立てるには、
債務名義に執行文を付与してもらう、
相手方に債務名義が裁判所などから届いているという
「送達証明書」を取得するといった
前段階の手続きも必要です。

これらの書類がそろえば、
強制執行の申立てとなりますが、
続きは次回に。

投稿者: 司法書士 本多寿之

2012.05.01更新

夫が借金を返せなくなった、
夫が給料を差押えられた、
夫が破産した、
私(妻)の財産、給料もとられるでしょうか?
・・・度々受ける質問です。

この問題は、
法律上、妻に夫の借金を返済する義務があるかないか
このことにつきます。

原則として、夫婦といえども
妻が夫の(夫が妻の)借金を返済する義務はありません。
なので、夫が給料を差し押さえられたり、破産しても
妻の給料や財産はとられることはありません。
(親子についても同様です。)

ただし、妻が夫の保証人になっていれば
保証人として返済の義務があります。
ですから、保証人として返済を命じる判決があれば
債権者は妻の給料などを差押ることができます。
また、夫が破産して債務の免除(免責)を受けても、
妻はそれだけでは保証人の責任を免れません。
つまり、保証人である妻には返済の義務があります。
妻も破産・免責を受ければ返済義務は免除されます。

夫婦については、日用品の購入など
日常家事に関する債務は、法律上、連帯して責任があります。

日常家事に関する債務を除けば、
保証人になる契約などがない限り、
親族だからというだけで、借金の支払い義務はありません。
※ 支払い義務のある人が死亡して、
相続で他の親族が支払い義務を引き継ぐことはあります。

また、支払い義務がない人の財産を差し押さえることはできません。
差押えることができるのは支払い義務のある人の名義の財産です。
だったら、差押えられる前に、夫の土地を妻名義に変更する、
夫の預金を妻名義の口座に移せば、差押えできないでしょうか。

確かにそうかもしれません。
しかし、差押えを免れる目的での財産権の移転は、
債権者を害する行為として「債権者取消権」の対象となることがりあます。
つまり、結局もとに戻されなければならなくなることがあります。

また、その後、破産の申し立てをした場合、
財産を他の人に移したことが破産管財人によって否認されると
やはり、もとに戻さなければなりません。
裁判所の借金免除(免責)の判断の際、悪質な財産隠しと認定され、
借金免除が受けられない(免責不許可事由)可能性があります。
さらに、強制執行不正免脱罪という犯罪を構成することがあります。

借金の返済が厳しくなってから以降に
安易な財産権の移転、名義の変更を行うと、
最終的にはマイナスの結果となることがありますので、
慎むべきだと思います。


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投稿者: 司法書士 本多寿之