事務所ブログ

2017.06.02更新

ときどき受ける質問です。

「うちの会社の定款を〇〇に提出しなければ

ならないのですが、どこで発行してもらえますか?

法務局ですか?公証役場ですか?」

 

定款はどこに?

 

確かに、株式会社を設立するときは

公証役場で認証が必要で、

認証を受けた定款には公証人の印鑑が押してあります。

 

(現在は電子定款を作成しますが、

確認やどちらかへの提出のため

紙で「同一情報提供」をしてもらうい

それには公証人の証明文言の紙がつづられています。)

 

ですので、公証役場から発行してもらった

という感覚になるのかもしれません。

 

または、会社成立後は、法務局で会社の登記事項証明書、

印鑑証明書を発行してもらうので

やはり定款も法務局で発行と思われるかもしれません。

 

しかし、現在の定款は公証役場でも法務局でもなく

会社にあるのです!・・・というか

なければならないのです。

 

会社法第31条1項 抜粋

(定款の備置き及び閲覧等)
・・・(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)は、・・・

(株式会社の成立後にあっては、その本店及び支店)

に備え置かなければならない。

 

定款はその会社に備え置いておくものなのです。

では、公証人や法務局の印鑑は押してなくていいの?

という疑問がわくかもしれませんが、

公証人が認証するのは設立時の定款(原始定款)のみです。

 

会社成立直後は、公証人の印鑑が押した定款

(のコピー)を提出するでしょうけれど

その後に、どちらかに提出する定款に印鑑を押すとすれば

それは会社の実印(法務局届出印)です。

 

会社成立後に、定款の内容に変更があった場合は、

会社に備え置いている定款の内容を書き換えて

引き続き会社で備え置いておくのです。

 

定款変更で登記が必要な事項は法務局で手続きをしますが

これは、会社の登記簿を変更する手続きです。

法務局に変更後の定款が保存されるものではありません。

 

会社法には、株主や会社の債権者から請求があれば

定款を閲覧させなければならない旨の規定があります。

どちらかに提出する必要がないときでも

定款は常に会社で準備して

備え置いておく必要があるということです。

 

会社・法人の設立、役員の変更、住所の変更

その他会社法人の登記手続きは

角田・本多司法書士合同事務所までご連絡ください。

 

投稿者: 司法書士 本多寿之

2017.03.06更新

前回、前々回に引き続き、家族信託が取り上げられた

2月28日NHKテレビのクローズアップ現代+について

私なりの補足をしたいと思います。

 

「(認知症が)重症になってしまうと、…

(資産が)一切凍結したら、そういうもの(マンション)を

売ったりとか、お金を使ったりできなくなってしまう。」

 

→ 成年後見制度を利用すれば、一切できないわけではありませんが、

できるのは必要最小限で、制約も多いです。

 

認知症などで、判断能力がない人のした契約は無効です。

売買などの契約やお金の支出も無効、

つまり財産は凍結されたのと同じ状態になります。

 

しかし、成年後見人が選任されれば、

成年後見人が判断能力の衰えた本人に代わって

契約をしたり、必要なお金の支出をしたりできます。

 

それでも、裁判所や監督人の監督下で、

本人にとって必要最小限の妥当な金額の範囲に限られます。 

 

本人の意思が確認できない以上、

これはしょうがないことでもありますが、

制約が多いため、結局「財産を凍結される」と

感じる人が多いのも事実です。

 

しかし、元気なうちに信託で家族に財産を託しておけば

本人に判断能力がなくなっても、信託契約などに込められた

本人の意思に基づき財産の管理ができます。

 

例えば、居住用の不動産の売却でも

信託されていれば裁判所の許可は不要です。

その他、場合によっては金銭の贈与も可能です。

(ブログ「将来、長男に住宅資金を贈与したいが…」をご覧ください。)

 

信託を設定した後に、本人の判断能力が衰えても

信託契約の中に凍結された本人の意思が

ずっと財産管理の指針として生き続けるので

財産は凍結されません。

これは、信託の「意思凍結機能」と呼ばれたりします。

 

意思凍結機能

(昨年本多が講師を務めた研修会資料より)

 

信託した場合でも信託契約による制約は受けますが

必要に応じて、管理しやすいように、

売却などしやすように決めておけば

「凍結される」と感じずにすむと思います。

 

繰り返しになりますが、

信託は元気なうちにしかできません。

判断能力がなくなってからは

成年後見制度を利用せざるを得ません。

 

テレビを見られた方は、この機会に

ご家族の方と話し合われてはいかがでしょうか。

 

家族信託、成年後見、財産管理・承継のご相談は

小倉北区の角田・本多司法書士合同事務所までご連絡ください。

 

 

 

 

 

 

 

投稿者: 司法書士 本多寿之

2017.03.03更新

前回に引き続き、家族信託が取り上げられた

2月28日NHKテレビのクローズアップ現代+について

私なりの補足をしたいと思います。

 

「家族信託では、関係者全員が話す場を作るのがルール。」

 

→ もちろんそれが理想ですが、財産を託す・遺す人の

意思を優先させることもできます。

 

例えば、親と子全員が、親の財産について

今後の管理や承継について話し合い

信託を設定できれば理想的です。

(遺言作成の場合でも同じだと思います)

 

しかし、親が、親孝行の子と親不孝の子に差をつけたいと思ったとしても

それはそれでおかしな話ではないと思いますが、

差をつけられた子は同意しないかもしれません。

 

その場合でも、財産を遺す親の意思を優先して

親と一部の子のみの話し合いで信託契約を結ぶことは可能です。

(これも親の意思のみで遺言を作成できるのと似ています)

信託は委託者と受託者の2者の契約で成立します。

信託契約

 

差をつけられた子はいい気持ちはしないかもしれません。

しかし、後にトラブルになるのは、遺言も信託もしないで

親の死亡後、子がお互いに自分の主張をぶつけ合うときだと思います。

 

遺言や信託で親の意思が示されていれば、

不本意でも子は従うこともあると思います。

 

番組の中でも、遺言について

「ないよりあったほうが絶対いいと思います。」とコメントされていました。

これは信託についても同じです。

 

家族全員が納得できるよう努力は必要でしょうが、

それができないとき、何もしないよりは

遺言や信託で自分の意思を遺しておく方が

後のトラブルを防げる可能性はずっと高いと思います。

 

遺言も信託も判断能力がなくなってからはできません。

元気なうちに考えてみてはいかがでしょうか。

 

次回に続きます。

投稿者: 司法書士 本多寿之

2017.03.01更新

2月28日NHKテレビのクローズアップ現代+で

「さらば 遺産“争族”トラブル 家族で解決!最新対策」と題し

家族信託が取り上げられました。

 

テレビで家族信託が取り上げられたことは

画期的だと思いますし、このすぐれた仕組みが

必要な方に利用されることが期待されます。

 

番組は25分間という限られた時間で、

当然、伝わる情報量にも限りがありましたので、

私なりに補足したいと思います。

 

信託のしくみ

 

「遺言が、亡くなったあとにしか効力を発揮しない一方で

家族信託は親が生きているときから相続のときまで

続けて機能するのが大きな特徴です。」

 

→ さらにその後の財産の管理・承継についても

引き続き機能させることができます。

 

家族信託は、死亡する前の財産管理について

機能させることができるのも大きな特徴ですが、

死亡した後の財産の管理方法や、

さらにその後の相続による承継について決めておくことができます。

遺言などとの比較 

遺言で指定できるのは、

例えば自分が死亡したら財産はAに承継させる

という、自分が死亡した時点のことだけですが、

その後にAが死亡したら実質的にBに承継させる、

Bが死亡したら実質的にCに承継させる・・・

 という遺言ではできないことが、家族信託では可能になります。

もちろん、その間の財産の管理方法についても決めておくことができます。

 (ブログ「受益者連続型信託信託」をご覧ください)

 

受益者連続

 

この機能だけでも、信託を利用する価値はあると思います。

(この機能を活用した例

 ブログ「先祖代々の家と土地を妻→弟の長男と引き継がせるには」をご覧ください)

 

 続きは次回へ。

投稿者: 司法書士 本多寿之

2016.11.12更新

~本多が講師を務めた10月22日

日本FP協会福岡支部継続研修会から~

 

 

分散した議決権

aoisen

 

オーナー兼社長の創業者が経営してきた会社で

その後、株式が分散してしまっているケースがあります。

 

会社経営のためにオーナー以外に株を取得させたのではなく、

オーナーが生前、相続税対策で親族たちに株を贈与した

オーナー死亡後、相続人全員で株を遺産分割して取得した

など、会社の経営とは別の理由のことも多いと思います。

 

その結果、会社経営にまったくタッチしていない

多くの親族が株を保有している状況が生まれます。

 

kensyu53p

 

同族会社の株ですから配当もほとんどなく

第三者に売却するのも難しいことから

保有している株式数にもよりますが

経営にタッチしていない株主が

不満を感じて経営方針に反対する、

認知症で議決権行使できなくなる、

など、将来の経営の不安定要素になりかねません。

 

株の価値が低ければ、現在の経営者が他の株主から

買い取ること、贈与を受けることも考えられますが

株の価値が高いと、買い取り資金の準備や

贈与の税金など、全部一気に経営者が取得するには

ハードルが高い状況も考えられます。

 

 

株式を信託して議決権を集約

aoisen

 

そこで、全員の同意がとれるなら今のうちに、

経営者以外の株主を委託者兼受益者、保有する株を信託財産として

経営者が受託者となって信託を設定します。

 

kensyu54p

 

信託された株式の議決権は、株式の管理行為として

受託者である経営者が行使できます。

(ブログ「財産は贈与したい でも管理は続けたい」をご参照ください)

信託することで議決権を経営者に集約できます。

 

株式分散による経営不安定の心配がなくなりますので、

時間をかけて、各受益者から受益権を買い取る、

贈与を受けるなど完全な集約を目指せます。

 

また、その間に受益者が死亡しても、相続でもめても

相続の対象は受益権ですから、

受益権の買い取り、贈与に影響はあるかもしれませんが

受託者の議決権行使に影響はありません。

 

前回お話しした不動産の共有者の増加と同じように

いたずらに株主を増やすことは

将来、トラブルのタネになりかねません。

しかし、すでに株主が増えてしまっているとき

信託の活用を検討されてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

投稿者: 司法書士 本多寿之

2016.11.06更新

~本多が講師を務めた10月22日

日本FP協会福岡支部継続研修会から~

 

 

不動産の共有

青い線

 

ブログ「不動産の共有」でもお話ししましたように

不動産の共有にすることは

どうしても必要な場合を除いておすすめできません。

 

実際には相続や贈与の結果、

共有となっている不動産は多くあると思います。

 

 kensyu51p

 

共有にすることのリスクは

共有者の足並みがそろわなくなると

売ったり貸したりが難しくなること、

年数が経つと、それぞれに相続が発生して

共有者が増える=ますます足並みがそろいにくくなることです。 

 

誰か一人が、他の人の持分を買い取る、

贈与を受けるなどして共有を解消できればよいのですが、

買い取る資金や税金の問題で難しいかもしれません。

 

そういうとき考えられるのが

家族信託の活用です。

 

共有状態解消信託

青い線

 

足並みがそろううちに、

共有者全員を委託者兼受益者として

共有不動産を信託してしまいます。

 

kensyu52p

 

不動産の処分権限を受託者に与えておけば

受託者は自分の判断で

不動産を売ったり貸したりできます。

以前の共有者の同意は必要ありません。

 

以前の共有者だった受益者は

不動産の収益、売却代金といった

経済的利益を受けることになります。

 

そして、以前は全員で一つの所有権を共有していたので

身動きがとりずらかったのですが

信託すると各自は別々の受益権を持つことになります。

受益者が死亡すると、信託契約に定めがなければ

相続人が受益権を相続し、受益者は増えていくかもしれませんが

受託者の管理・処分権に影響はありません。

 

一部の受益者が相続でもめても

やはり受託者の管理・処分権に影響はありません。

 

共有をそのままにすると、

将来、子孫が困ることになるかもしれません。

全員の足並みがそろううちに、

信託で備えることも検討してはいかがでしょうか。

 

北九州市門司区・小倉北区・小倉南区・戸畑区・

八幡東区・八幡西区・若松区とその近郊で

家族信託、財産の承継・管理、相続対策のお悩みは

角田・本多司法書士合同事務所へご相談ください。

 

 

投稿者: 司法書士 本多寿之

2016.11.06更新

10月22日(土)北九州市戸畑区の

ウエル戸畑で開催された

日本FP協会福岡支部様主催の

継続教育研修会で講師を務めました。

 

成年後見制度と家族信託について

約3時間お話をさせていただきました。

 

 研修資料1

 

今回の研修会では

長めのお時間をいただきましたので

今までのセミナーでご紹介できなかった

内容をプラスしてお話しできました。

 

この研修会でお話したことをピックアップして

ブログの次回以降でご紹介したいと思います。

 

 

 

投稿者: 司法書士 本多寿之

2016.04.20更新

熊本地震で亡くなられた皆様に

謹んで哀悼の意を表しますとともに、

被災者の皆様に心からお見舞い申し上げます。

 

強い揺れが続いていますが、被害が拡大しませんことを、

そして、一日も早く復旧が進んで

通常の生活を取り戻されますことをお祈り申し上げます。

 

投稿者: 司法書士 本多寿之

2016.01.16更新

ブログ「家族信託と遺留分」でお話しした

家族信託や多くの著書を持たれている

司法書士の河合保弘先生が

新たな著書「家族信託活用マニュアル」を

出版されたことを記念する講演・パーティーが

1月15日福岡市で開催され、本多も参加してきました。

 

会場は多くの参加者の熱気に包まれていましたが、

昨年、河合先生の家族信託の連続講座を

一緒に受講したみなさんとも再会し

いろいろな情報を交換し合いました。

 

家族信託は自由な設計可能ですが、

自由がゆえに不適切だったり

誤っている設計・契約がされる恐れがある訳です。

 

講演でも適切な家族信託の普及の重要性が強調されていました。

必ずしも事例が多い分野ではなく、判例は皆無です。

今後もいろいろな方々と情報を交換しながら、

よりよい家族信託のご提案ができるように努めてまいります。

 

なお、河合先生の新著「家族信託活用マニュアル」は

36もの事例とそれに対応した家族信託が紹介され

家族信託の活用方法がわかりやすく解説されています。

 

記念写真

 著者の河合先生(真ん中)と記念撮影(右が本多)

 

投稿者: 司法書士 本多寿之

2015.12.12更新

11月までの6回シリーズで

民事信託についてやその他にも多くの著書をお持ちで

司法書士の河合保弘先生を福岡にお招きした

民事信託の連続講座を受講しました。

 

様々な士業の方や、その他の分野の方々が参加し

事例についにてのディスカッションなども行い

多くの情報も得られ、非常に実りのある講座でした。

 

その講座でも議論したのが、遺留分制度についてです。

以前のブログ「受益者連続型信託と遺留分」の例で考えると・・・

信託と遺留分

家族信託を設定した時点の受益者を夫、

夫の死亡後の第2受益者を妻、

妻の死亡後の第3受益者を長男とした場合、

夫の死亡時に妻の取得する受益権と

将来、長男が取得する受益権が

他の相続人の遺留分減殺の対象となると考えられています。

 

信託契約で受益者が死亡した場合の

次の受益者についての定めがない場合は、

死亡した者の受益権は相続により承継されます。

遺言で承継する者を指定して、他の相続人の遺留分を侵害すれば

遺留分減殺の対象となることは当然だと思います。

 

しかし、上の図の例は、夫の死亡がきっかけだとは言え、

受益権を夫から相続で承継したのでもなく、

夫の遺言に基づいて承継したのでもありません。

 

信託契約に定めがない場合と異なり、信託契約に基づき

夫の死亡により夫が有していた受益権が消滅し、

新たに妻に受益権が発生し取得した

と、考えるほうが理にかなっているのではないか、

受益権は夫から妻に相続により承継されたものではないから

遺留分減殺の対象にならないのではないか・・・といった議論です。

 

生命保険の契約者と被保険者が同じで、その人が死亡したときの

受取人の保険会社に対する保険金支払い請求権は

契約者兼被保険者から相続したものではない固有の権利なので

遺留分減殺請求はできないことが原則で、これに似ている部分もあります。

 

現在は判例などはありませんので、

取得した受益権が遺留分減殺の対象になるものとして備える必要はありますが、

今後の動向を見守っていきたいと思います。

 

 

 

投稿者: 司法書士 本多寿之

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