ここ数か月、当事務所のホームページを
「裁判所 書類 受け取らない」
「特別送達 本人以外 受け取る」などのキーワードで
検索してご覧いただいている方が多いようです。

ブログ「裁判所からの書類は受け取らなければ怖くない?」で
裁判所からの書類を受け取らないことで
不利益はあっても利益はほとんどないとお話ししました。
今日は、補足説明を加えてみたいと思います。

1 家族・従業員が受け取った場合

訴状、裁判の呼出状などは
裁判所から「特別送達」という郵便で送られてきます。
書留郵便に似た郵便で、不在だからといって
ポストにそのまま入れるようなことはありません。
不在通知を置いていきますので、
郵便局に電話して配達を依頼することができます。

送る場所は次のとおりです。(民事訴訟法103条)
1 受け取る者の住所(法人なら営業所・事務所など)
2 1がわからない、支障がある場合は就業場所
つまり、自宅で受け取らないと、
勤め先に送ってくることもあり得るということです。

送った場所で受け取るべき者がいない場合、
1の場合、そこにいる同居人、従業員などに
2の場合、そこにいる従業員などに渡すことができます。
なお、上の2の場合は従業員などが受け取りを拒まない場合です。
上の1の場合は、拒まれてもそこに置いていくことができます。

同居人、従業員が受け取った場合、
自宅などで受け取りを拒まれて置いていった場合、
いずれも本人が受け取ったのと同じように裁判は進みます。

ですから、本人でない家族・従業員などが受け取ったときは
早急に本人に裁判所からの書類を本人に渡す必要があります。

2 注意すべき点

受け取らないことで不利になることが多いのですから、
裁判所から特別送達が届いて
受け取るべき本人がいない場合でも、
家族や従業員は受け取って本人に渡すべきでしょう。

しかし、もうそこには住んでいない、
もうそこには勤めていないような場合は、
「ここにはいません」と受け取りを拒否するべきでしょう。
特に、以前の勤め先の従業員が受け取ってしまって
本人から「なぜ、勤めていないのに受け取ったんだ。」と
言われると困ると思います。

もっとも、そこには住んでいないが、
本人はどこかに隠れていて、郵便はとどかない状況
しかし、家族は連絡がとれるという場合は
受け取って本人に知らた方がよいかもしれません。

いずれにしろ、本人が裁判を起こされていることを知り、
訴状の内容を確認することが大切です。

なお、そこに住んでいる、勤めているのに
受け取らなかった場合でも
「書留郵便に付する送達」により、
発送した時に受け取ったものとみなして
裁判は進んでいきます。
(ブログ「裁判所からの書類は受け取らなければ怖くない?」)

角田・本多司法書士合同事務所