ホームページの遺言のページで
遺言を公正証書で作成するメリットを紹介しています。

ところで、遺言だけでなく
様々な契約書を公正証書にすることがあります。
公正証書で契約書を作成する利点についてご紹介します。

1 証拠力が高い

公正証書は、公証人が作成した公文書です。
民事訴訟法に公文書についての規定があります。

民事訴訟法228条
 文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
 2  文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認める
  べきときは、真正に成立した公文書と推定する。
   (以下省略)

「成立」とは、分かり易く言えばその人が作ったかということで、
民事訴訟で文書が証拠として採用されるには、原則として
本当にその人が作ったものか証明が必要ですが、
公文書であれば、そこに名前のある公務員が
本当に作ったものだと推定されます。

なので、相手方が「偽造公文書だ」などと反対のことを証明しない限り
その公文書(公正証書)は証拠として採用されることになります。

2 執行力がある

通常、相手の財産を差押える(強制執行)には
確定した判決などが必要で、言い換えれば
差押えする前に、民事裁判などを起こさなければなりません。

しかし、金銭の支払いなどを目的とする請求について
作成された公正証書で、相手方が強制執行に服する旨が
書かれてあれば、判決などがなくても強制執行ができます。

そういう意味で、公正証書には執行力があり、
そのような公正証書を「執行証書」と言います。

ですから、例えば借用書(金銭消費貸借契約書)を
公正証書で作成した後に、借主が支払いをしなければ、
貸主は裁判をすることなく、借主の財産の差し押さえができます。

※ ただし、公正証書を事前に借主に送達してもらっておく、
 公正証書に執行文を付与してもらうなど、
 強制執行のための前準備は必要です。

(差押えについてはブログ
Q.借金を返してくれない知人の財産を差押えたい1」などをご覧ください。)

その他、遺言のメリットでも触れましたが、
専門家である公証人が作成しますから
内容・表現が的確であるのはもちろん、
原本を公証役場で保管しますので、もし紛失しても
いわば「再発行」が可能、などのメリットがあります。

デメリットは、費用がかかる
原則、当事者が公証役場に出向く必要がる
といったところでしょうか。

しかし、実際はこのデメリットが障害となって
なかなか一般的な契約書を公正証書にすることは
少ないかもしれません。

私文書は、公正証書比べれば証拠力は弱く、
執行力もありませんが、
作成しないことと比べれば、裁判において雲泥の差があります。
まずは書面で残しておく、これが大切だと思います。

角田・本多司法書士合同事務所