不動産の所有者などの住所変更について前回からの続きです。

何度も転居している場合は、
何か所かの役所から住民票、戸籍の附票
場合によっては「不在籍不在住証明」を
取り寄せなければならないこともあります。

しかも、住民票、戸籍の附票は
それぞれ住所、本籍がわからければ
取り寄せができません。

前の前の住所を覚えていなければ、
まず、前の住所の住民票を取り寄せて、
それに載っている「前住所」を確認してから、
前の前の住所の住民票を取り寄せます。

本籍については、前の本籍の番地ですら、
覚えている人の方が少ないかもしれません。

つまり、一気に、必要な住民票・戸籍の附票を
取り寄せることは、難しいことが多いのです。
そのため、思いがけず日数がかかってしまい、
売却の期日に間に合わない、なんてこともあり得ます。

4 日本に住む外国人の方の住所変更登記

今年の7月9日に、
それまでの外国人登録の制度が廃止され、
住民基本台帳法の適用対象となったことで、
日本に住む外国人の方も住民票が発行されるようになりました。

ところが、この住民票には現在の住所はもちろん載っていますが、
前住所が載っていません。
これでは住所が移った経緯がまったくわかりません。

外国人の方の「登録原票記載事項証明書」には、
他の市町村で何度か転居したことがあっても
現在までの転居の経緯を載せてくれるので
不動産の住所変更にとても役に立つ証明書です。

しかし、今までこの証明書は
居住する市町村で発行してくれていたのですが、
7月9日からは、東京の法務省に開示請求をする必要があります。
法務省のホームページ
にも載っていますが、
写しを発行してもらうのに1か月程度かかるようです。

日本に住む外国人の方が、
不動産を売却する場合で、住所の変更登記がある場合は、
このことを考慮して期日を決める必要があるでしょう。

5 「たかが名変、されど名変」

ところで前回、不動産の住所変更には
いつまでにしないといけないという規定はないとお話ししました。

また、住所をA→B→Cと移った場合でも、
AからBへ一気に住所変更登記ができます。

マイホームの登記であれば、そこにずっと住む予定でしょうから
そこに転居したとき、住所変更登記をされるのがよいでしょう。
しかし、また転居が予定されるような場合、
転居するたびに住所変更登記をするのは
手間と費用がかかり不経済かもしれません。

であれば、転居するたびに、前の住所の市町村で
住民票の除票を取得して保管しておけば、
いざ売却のときに慌てることはなくなります。

でも、実際にそうやってご自分で保管されてる方に
会ったことはありませんが・・・

不動産の住所変更登記は、正しくは「名義人住所変更登記」といい、
司法書士は略して「名変(めいへん)」と呼んでいます。
そして、「たかが名変、されど名変」ということわざ(?)もあります。

たかが住所の変更と考えてしまいますが、
メインの売却による所有権移転登記よりも
書類をそろえるのに手間と時間がかかることがあり、
必ず住所変更登記をしなければメインの登記はできません。

たかが住所変更の登記ですが、
軽視できない手続きということで、
2回にわたってお話ししました。

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