以前、成年後見は本人(成年被後見人)のための制度で、
決して成年後見人のためのものではない。
だから、成年後見人が本人の財産を自由にできる
なんてことはありませんと、書きました。

昨日の朝日新聞の社説で
成年後見制度の問題点が取り上げられていましたが、
昨年6月までの13ヶ月間で、
後見人になった親族の着服が
少なくとも総額26億3千万円!とのことです。

我々司法書士や弁護士などの
専門家が成年後見人になった場合でも
残念ながら着服や横領がおこっています。

社説は成年後見支援信託や
法人後見の利点などについてもふれています。

超高齢化社会を迎える日本で
成年後見は重要な制度だと思います。
しかし、着服や横領の温床となっては、
本末転倒どころの問題ではありません。

一方で、成年後見人の多くは
親族である一般の方々が担っています。
あまりに厳格に、専門的になりすぎると
親族ではできなくなってしまうかもしれません。

私には、何もかも専門家がやればいいとは思えません。

(追記)
このブログを書いた後、
「成年後見支援信託」についての研修を受けました。
(朝日新聞の社説にも書いてありました。)
これは、一定の場合に、本人の財産を信託銀行に預けて(信託して)
事前に決められた金額のみ、定期的に信託銀行から
後見人が受け取ることができるというものです。
急な支出が必要な場合も、裁判所の指示によらなければ、
信託銀行は後見人に金銭を渡せません。

これにより着服や横領の防止について
一定の効果は期待できるかもしれません。。

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角田・本多司法書士合同事務所