相続について、遺産は誰ものになるのかは、どうやって決まるのか、
遺言、遺産分割協議のあるなしでご説明します。

1 遺言がある場合

有効な遺言がある場合は、その遺言の内容に従います。

遺言の内容で多いパターンのひとつとして
「遺産のうち、○○は妻に相続させる。□□は長女に相続させる。」
「相続させる」という言葉を使ったものがあります。

遺産をどういうふうに分けるか、遺産ごとに指定がされていますので、
その指定に従うことになります。

※ 遺言で、遺産を一定の割合以下しかもらえなかった相続人は、
一定の割合までもらうことを主張できます。
この一定の割合を遺留分(いりゅうぶん)と言います。
次の機会にご説明したいと思います。

2 法定相続分

遺言がなくて、遺産分割協議もしていない場合、
遺産は法定相続分で所有が決まります。

例えば、夫の遺産について、妻と子2人が相続人の場合、
妻 2分の1  子 1人あたり4分の1  の割合になります。
(子が3人なら子1人あたり6分の1づつ)

注意すべきは、遺産がいくつかあった場合でも、
それぞれが共同の所有(共有)となることです。

例えば、マンションと車と預金があれば、
マンションは妻2分の1、子4分の1づつの共有、
車も妻2分の1、子4分の1づつの共有、
預金も妻2分の1、子4分の1づつの共有になります。

3 遺産分割協議をした場合

遺言はないが、相続人全員で遺産分割協議をした場合、
協議の内容に従って、遺産は分けられます。

必ず相続人全員が合意しなければなりません。

遺産分割の方法は、単純に現物で分ける現物分割の他、
金銭で調整する代償分割などがあります。

以上のことをまとめると、
優先順位としては
1 遺言  2 遺産分割協議  3 法定相続分  というイメージでしょうか。

相続人が複数人いて、遺言もなく遺産分割協議もしなければ、
遺産は法定相続分で共有となります。

また、遺産分割協議で共有にすると決めれば、
もちろん遺産は共有となります。

私の考えとしては、共有は後々トラブルを生む可能性があります。
例えば、遺産である土地を兄弟の共有とした場合、
その兄弟が死亡すれば、それぞれの妻と子の共有に、
その子が死亡すれば、さらにその配偶者と子の共有に・・・

つまり、配偶者という一種の「他人」や、いとこ、はとこ同士という
つながりの薄い者同士の共有になり、共有者の人数もふえていきます。

そうすると、全員が足並みをそろえることが難しくなり、
売ろうにも売れない、貸そうにも貸せない状況になるかもしれません。

どうしても、共有としなければならない事情もあるかもしれませんが、
そうでなければ、遺産分割協議をして、
遺産ごとに単独の所有(単有)とすることをお勧めします。

次回は、そもそも相続権は誰にあるのか、
相続人の範囲についてご説明します。

ブログ内の関連記事 

  「法定相続分の話」

  「遺言と遺留分(いりゅうぶん)の話」

(ホームページ「遺産の分割について知る」もご覧ください。)

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